記録のあれこれ 15 <スタート反応速度>

日常で「秒」を意識するのは出勤の時で、1秒とか5秒で運命の分かれ道になるし、20秒の違いがその日を大きく左右するぐらいの感覚があります。
それでも、さすがに100分の1秒までを感じ取る機会はあまりありませんね。


競泳会場に足を運び始めた頃、競泳のことはほとんど知らなかった私ですが、印象に残ったことのひとつとして、「スタート反応速度」が電光掲示板に表示されることがありました。
あと、50mで折り返したり、100mといった単位で通過時間が掲示されていきます。
周囲を観ると、紙のスタートリストにそれを書き写している人たちがたくさんいました。
電光掲示板をみながら記録を写し取る、その早さにも驚かされました。


最近では、そのスタートリストやスタート反応時間も含めた結果はすぐに日本水泳連盟のHPにある「SEIKO 速報サービス・リザルト」ですぐに確認できますし、過去の大会の記録も見ることができるようになりました。


そういえばスタート反応速度の定義を知らなかったと検索してみたら、なぜか「ホームメイト」のサイトに「水泳用語」があって、以下のように書かれていました。

競泳において、スタートの号砲が鳴ってから選手の足がスタート台を離れるまでのタイムのこと。スタート台には圧力を感知するセンサーが内蔵されており、選手が台を蹴った瞬間に自動的にタイムが測定される。オリンピックなどに出場するトップスイマーで0.5秒台、マスターズでは0.7秒台の選手が最も多い。リアクションタイムの測定は、スタートまでの反応スピードまでを知るためのもので、フォルススタート(フライング)判定のためではない。競泳のフォルススタートは足が離れた瞬間ではなく、号砲の前に動いたかどうかで判定される。しかし、リレー競技の引き継ぎ時には内蔵センサーにあたるかの違反判定に使われている(0.03秒までは違反にならない)。


定義を確認するのは大事ですね。いろいろと知らないことばかりでした。
特にフライングの判定については、はやく水に飛び込もうとしたぐらいのイメージしかありませんでした。
私なら、飛び込み台の上での極度の緊張から体が動いて失格になりそうです。


そして、Wikipedia不正スタートには、フライングは和製英語だと書かれていてへ〜っと思いました。



男子自由形の50m、100mなどは最速の競技なのでスタート反応速度も全種目で一番早いのだろうと思って、先日の日本選手権の結果を見直してみました。
男子背泳ぎ50mでは軒並み0.5秒台の反応速度に対し、自由形では0.7秒台の選手がほとんどでした。
これは飛び込む姿勢の違いからなのでしょうか。


いずれにしても、「スタート台で体が動いていないかどうか」「足がスタート台から離れる瞬間」を察知するための技術的な進歩はここ最近なのだろうなともう少し検索してみると、TDKの「テクの雑学」に「第99回 正しい記録には最初と終わりが肝心!」という記事がありました。


1896年の第1回オリンピックでは、1秒単位のストップウォッチを使い「人の目視による1秒単位の記録」が公式記録だったと書かれています。
「ストップウォッチを手動で操作すると、どうしても反応速度による遅れや誤差が入ります。そのため、過去には、10人が同時にストップウォッチを操作して平均値をとるといった操作もされていました」



100分の1単位でのスタート反応速度がすぐに掲示されるなんて、当時は夢のような話だったのでしょうね。



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