無花果

5月に入って、通勤の車窓からノビルを発見。
すでに20センチ以上になっていて、白い可憐な花が咲きそうになっていました。
前日まで同じあたりをぼーっと眺めていたはずなのに、今年もやられたという感じです。
まさにノビルは「伸びる」ですね。


いえ、植物の成長も驚異的ですが、世の中、見ているはずが見ていないものに満ちているとつくづく思います。
今年はやけに、今まで目に入っていなかったものが見えては、今まで何を見ていたのかとちょっと落ち込むことがあります。


さて、少なくとも1週間に2回は通る道に無花果の木があります。いつも実がなるのを見ていました。
もう10年以上その前を通り続けています。


無花果は子どもの頃から馴染みのある植物でした。
祖父の田んぼの近くに植えられていて、夏に実がなっているところを見ていました。
そして母の大好物だったのですが、子どもにはその外見も味もあまり魅力的には映らなかったので、私は積極的に食べたいと思ったことはありませんでした。
ただ、その近所にある無花果の木に実がつき始めると、あれこれ懐かしく思いながら通り過ぎていました。


でも案外とその実ができていく季節がいつなのか漠然としか記憶していなくて、無花果は夏の果物のイメージだけでした。


4月中旬、日記がわりのメモを見ると正確には4月18日に、青く小さな実がなっているのに気づきました。
大きめな梅の実ぐらいです。
まだちょっと肌寒い日もある、こんな時期から実をつけ始めていたのかと初めて目に入ってきたのでした。


無花果で検索すると、収穫の時期は大体6月から8月ということは書かれているのですが、どのように育っていくのかについて詳しく書かれたものは見つけられませんでした。
いつも参考にさせていただいている「季節の花300」の、4月中旬に撮った写真の中に小さな青い実が写っていました。


「季節の花」とタイトルにあるのですが、無花果の場合には花の写真はなくて青い実だけです。
イチジク無花果と書く理由がWikipediaの説明に書かれていました。

新枝が伸びだすと葉腋に花を入れた袋である花嚢がつく。下のものから順に育ち、花嚢は果嚢となって肥大化する。花嚢は倒卵状球形で、厚い肉質の壁に囲まれ、初夏に、花囊の内面に無数の花(小花)をつける。


専門用語だとわかりにくですね。
「果物ナビ」というサイトの説明がわかりやすいかもしれません。

いちじくは漢字で「無花果」と書きますが、花がないわけではありません。いちじくは実の中に小さな花をつけるため、外からは確認できないのです。果実を半分に切ると赤いつぶつぶがたくさんつまっていますよね。あれが花です。


私は初夏に白い小さな花が咲いてそこから無花果の実になると、勝手にイメージしていました。


来年は、緑の小さな花囊がつき始めるところをこの目で確認したい。
また定点観測の課題がひとつ増えました。