数字のあれこれ 37 <「1秒間に25mプール1杯分の水を排水」>

五反田川放水路とその水門のことを考えていたら、なんとなく「放水路」でわかったような気分になっていたけれど、放水路の定義を知らないことにちょっと冷やりとしました。
あわててWikipedia放水路を読みました。

放水路(ほうすいろ)とは、河川からの溢水による洪水を防ぐため、河川の途中に新しい川を分岐して掘り、海や他の河川などに放流する人工水路のことをいう。分水路と呼ばれることもある。道路におけるバイパスに相当する機能を持つ。


日本の放水路には例えば新北上(北上川の放水路)、新信濃川信濃川の放水路)、荒川(隅田川の放水路)、新淀川、大田川放水路(太田川の放水路)などがある。


30年近く前に見学したあの信濃川の関谷分水や、人工の川で紹介した荒川や中川もまた放水路ということを、ブログを書くようになってから知りました。

近年では首都圏外郭放水路のように、地下に大規模なトンネルを建設しそこに放水するタイプの地下水路があり、大都市の中小河川治水対策に応用されている。


放水路と呼ぶのかは正確にはわからないのですが、「地下の大規模なトンネル」といえばこちらの記事の「おまけ」に書いた環七地下調整池が思い浮かびます。
善福寺川の取水施設は側まで行って見たことがありますが、環七を車で通過したらきっと気づかない人も多いくらいの建物ではないかと思います。ところがその道路の下には巨大な貯水池があるのですから驚きです。


現代の「川」というのは、川の上に川、川の下に川どころか、道路や鉄道の下にも川という、1世紀前いえ半世紀前でも想像しなかったような形態に変化しているのかもしれません。


ところで、その「首都圏外郭放水路」は初めて聞きました。


さっそく地図で見ると、旧江戸川の本流でもあり、また水元公園に行く途中で歩いた江戸川の上流にあります。
ぜひ、この目で見て見たいと思いました。


首都圏外郭放水路を見に行く>


全長6.3kmの放水路自体は、地下50mに埋まっているので見ることはできませんが、巨大な調圧水槽と排水施設のある庄和排水機場には資料館があって入場できるようです。


春日部駅からバスが出ているので乗ると、じきに一面が水田地帯になります。
窓を閉めたバスの中にもほのかに稲の香りがして、なんとも懐かしい想いになりました。
そして、子どもの頃から見慣れた用水路があちこちに整然とあるのを見ると、心が弾むのでした。


江戸川に向かって走っていると、途中で「第三立杭」と書かれた建物が見えて、Wikipediaの説明で読んだ施設だとわかりました。
この下50mもの深さに放水路が掘られているのは驚きです。だって、あの競泳用50mプールを縦にした深さですものね。


江戸川の堤防のすぐ近くに庄和排水機場があります。
国土交通省の江戸川河川事務所が作ったパンフレットに、今日のタイトルが書かれていました。

1秒間に25mプール一杯分の水を排水


国内最大級の排水量50㎥/sを誇る巨大ポンプが4台あり、ガスターピンの動力を利用して「インペラ」と呼ばれる羽根車を高速回転させ、水にエネルギー(揚力と遠心力)を与え流れを作り出します。ガスタービンは航空機用に開発されたもので、外形や騒音、振動が非常に小さいのが特徴。排水能力は最大で1秒間に200㎥(25mプール1杯分)の水を排水することが可能です。


ああ、ありがたいことにプールの容量で例えが書いてあったので、そのすごさを実感できました。
1秒というと、世界最速の男子50m自由形の選手が2mちょっと進むタイムですが、その間にあの25mプール1杯分の水が排水されてしまうのですね。


数字が苦手な感覚的な理解ですみません。


見学に行った日は快晴で穏やかな天候でしたが、雨風で荒れ狂う日に江戸川近辺を歩いたら、この施設で近隣地域が守られていることを実感できるのかもしれませんね。




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