トイレについてのあれこれ 5 <女性のトイレ滞在時間を増やすもの>

古い街並みの写真を見ていると、無意識に蘇ってくるのが古いトイレの記憶です。


子どもの頃、1960年代の公衆トイレや学校のトイレは今思い返すとセピア色どころか暗黒の記憶といった感じです。
当時はそれが当たり前の風景だったのですが汲み取り式トイレが多かったし、トイレットペーパーもなかったし、昼間でも薄暗い場所でした。
下水道が完備されていない時期の汲み取り式トイレであれば地下水汚染を避けるために離れた場所に作られていることが多かったし、水洗トイレへと変化しても匂いや景観のためか、人気のない隅っこに作られていたような記憶です。
ただ、水洗トイレが完備され、おしゃれな建物でさりげなく街の中に増えた公衆トイレですが、日中でも魑魅魍魎が出没するのは今も変わらないようですけれどね。


誰かと一緒にとわーっと駆け込んで、さっさと逃げるように出てくる。
それが公衆トイレでした。
半世紀後には、そのトイレでくつろぐ人が出現するとは予想もしませんでした。


<女性のトイレの滞在時間は長いのか>


本当に女性用トイレは、どこも混んでいて並びます。
特に駅や隣接する商業施設のトイレでは、だいたい長蛇の列に遭遇します。
平日が休日か、あるいは時間帯によっても差はある印象ですし、天候にも左右される感じです。
「今日はちょっと気温が低くて肌寒いな」という日は、やはり、いつも以上にトイレが混んでいることがしばしば。


5人ぐらい並んでいるのには驚きません。
場所によっては10数人ぐらい並んでいますが、そういう場所は個室数も多いので、皆さん忍耐強く待っています。
たぶん皆さん、個室数と待ち人数からおよその待ち時間を推測している経験を積んでいるのだと思います。


検索すると女性のトイレ滞在時間の調査があるらしく、およそ2分弱の個室の滞在時間が書かれていました。
まあ、そんなものかもしれません。
ただ、5人ぐらい並んでいても一斉に3人ぐらいが終わって出てくることもあるので、待ち時間自体は2〜3分から数分以内といった感じです。


ただ、時に5分ぐらいしても列が動き出さない時もあります。


時には生理現象で長く滞在が必要な場合もあるでしょうから、そこはお互い様でじっと待っているのですが、どの個室からもまるで「人がいない」かのように何の音も聞こえてこないまま時間が過ぎることがあります。
あるいは、他の個室には人が入れ替わり立ち替わり入っているのに、その個室だけはしーんとしたままです。
他人の生理現象の匂いというのはわかるものですが、ようやく出てきたその個室にはそうした気配すらないのです。

何をしているのだろうと、ほんと気になります。
そして、これだけみんなが並んでいても気にならないのはどうしてだろうかと。


「なぜ女性トイレは待ち時間が長いか」と思っている人はけっこういるようで、JCASTニュースの「女子トイレにはなぜ行列ができるのか 真面目にTOTOに聞いてみた」(2017年4月12日)という記事がありました。
それによると女性の場合、トイレットペーパーを使わなければならないとか排泄の特殊性があることと、荷物の置き場に手こずるという理由も書かれていました。
確かに、個室に入って荷物をどうしようかというあたりで20秒ぐらい(いい加減な数字)はかかりそうです。
最近、奥に棚のような場所があってすぐに置けるようになっているトイレが増えてきた印象ですが、滞在時間短縮のための工夫かもしれませんね。これだと数秒ぐらいで済みますから。


その記事の中には「メイク」とありますが、最近のトイレはメイクや着替え用にとても公衆トイレとは思えないおしゃれな場所が作られていて、椅子に座ってゆっくり化粧直しをしている女性がいます。
また、これも個室の待ち時間を減らす対策からきているのかもしれませんね。


<それ以外に何をしているのか>


ただ、個室内で荷物を置いたり取ったりするのに手こずるとか、着替えなどをしていれば外で待っている人にも中に人がいる気配がわかるのですが、こちらが落ち着かなくなるほどし〜んとした個室があります。
長蛇の列を待っている間にも動く気配がないような個室から、突然と人が出てくるのです。


上の記事では「携帯」とか「居眠り」というのがあって、びっくりです。
トイレ内に食べ物のゴミを捨てる不届き者がいると思っていたら、その中で食べている人がいると知って驚いたのが数年前。
トイレで何でもする時代になったことが、私にはついていけない感覚に陥るのは、あの「わーッと入って、さっさと済ませて出る」のが公衆トイレという子どもの頃の体験が根強いのかもしれません。


さて先日、長蛇の列を待っていた後にようやく個室に入れました。やはり、数分以上「気配がないほど静かだった個室」から出てきたのは、スマホ片手の女性でした。
本当に、こんなに混んでいるトイレ内でスマホを見ている人がいるのだと驚きつつ、個室に入りました。


ところが、「あっ」と。
煙はなくとも匂いがたちこめていました。


ああ、また女性のトイレ滞在時間が長くなる製品がこの世に出現したかと思いました。



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