10年ひとむかし 34 <適切な温度で過ごせるようになった>

この暑さの中、「暖房」なんて入力もしたくないですね。
熱中症について考えていたら、空調設備の変化をあれこれと思い出しました。


昨年11月頃に、エアコンを付け替えました。
どうも、電気代の割には部屋が暖まらなくなってきたのでした。
賃貸なので大家さんがうんと言わなければ替えてもらえないのですが、さすがに十数年前の製品だったことと、「室外機も音が大きくなってお隣にも迷惑かもしれないので」と理由を付け加えたらあっさり交換してもらえました。


あ〜もっと早く言えば良かったと思うほど、部屋の温まり方が違います。
そして工事に来てくれた方が、「外出する時に消したりつけたりしないで、16度設定にすると電気代が下がる」と教えてくれました。エアコンの暖房は起動時に一番電気を消費することは知っていたのですが、付けっ放しにするということがどうも「もったいない」と感じてしまう世代です。
「二度あることは三度ある」に「エアコンの消し忘れに注意」と玄関にメモを貼ってあることを書きましたが、実はこの時、すでに「消さないで16度設定で出かける」実験を始めていました。


1ヶ月後の電気料をおそるおそる見たところ、なんと前年度の3分の2になっていました。
家にいた時間の違いとか誤差があるでしょうが、この冬は軒並み前年度の3分の2の電気料金になりました。
もちろん、新しいエアコンで省エネ機能が向上したということも大きいと思います。
おかげで、この冬は一日中、お風呂場やトイレの温度差などがなく快適な暖かさで過ごせませした。


失敗したのは、夏はどうしたら良いのか工事の人から聞いておかなかったことです。
冬の部屋を暖めることよりは、夏の方がすぐに冷房が効き始めるので、「こまめにオンオフ」はしないで長く家をあけるときには消すぐらいが良いのかなと様子を見ています。


10年ほど前、父が熱中症で救急搬送された後、標高の高いところにあった実家にもエアコンをつけるようになりました。
ところが、認知症だった父はエアコンの冷房をつけるとすぐに消してしまって、つけては消されを繰り返していると母が困っていました。
リモコンを隠しても、本体のスイッチを消してしまうらしいのです。


どうやら「電気代がもったいないので消す」ということに意識がいってしまうようで、父にとっては家中の戸締りと同様に無駄にスイッチが入っているものは消すのが使命だったようです。
父の様子を観察していた母が、「あの本体の作動ランプがついていることが気になるらしい」と気づきました。
ランプが見えないように隠してからは、父はエアコンがついていることを気にしなくなりました。


しばらくして、グループホーム介護施設へと生活の場を変えてから、父は年中、室温と湿度が一定になっている環境で生活をすることになりました。
冬は窓が凍って室温も0度近くなったり、夏は閉め切ることで熱中症になるような家から解放されたと私は思いたいのですが、父はどうだったのでしょうか。


半世紀前、私が小学生の頃はエアコンなんて見たことがなかった地域でした。


家の中の温度が一定で快適なことがありがたいことだと、私自身は、年々実感するようになりました。




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