食べるということ 29 <アナゴとウナギ>

撮り溜めしていた国分太一君の「おさんぽジャパン」で、岡山のアナゴを美味しそうに食べているシーンがありました。
本当に美味しいんですよ、瀬戸内海のアナゴは。
私にとっての高級魚は、このアナゴです。でも食べるのは、10年に一回ぐらいでしょうか。


子どもの頃、倉敷の祖父母の家に泊まりに行った時にしか食べることができないものでした。
「アナゴの旬」で検索すると圧倒的に「夏が美味しい」と書かれているのですが、不思議と夏休みに食べた記憶はなくて、お正月に行った時の記憶だけです。
寒い外で炭火を起こして、醤油に砂糖を混ぜたタレをつけて焼くだけですが、甘めの関西の醤油がこの時だけはとてもアナゴに合っていると感じました。


焼いたアナゴを何本も容器に詰めて、高速道路を飛ばして帰宅して、しばらくはおじいちゃんのお米に載っけて食べる贅沢三昧の食事が続くのでした。


岡山というと祭り寿司が有名ですが、リンク先の農林水産省のサイトに掲載されている写真ではアナゴとままかりの酢づけが使われています。
左側に見える青魚がままかりですが、子どもの頃に住んでいた山間部ではままかりどころかアナゴも見かけなかったので、母が作ってくれた祭り寿司はエビやイカが代用されていました。


90年代ごろからでしょうか、クール宅急便のおかげでアナゴやままかりも親戚から送られて、母は堪能していたようです。


<アナゴとウナギの違い>


アナゴに似た魚にウナギがあります。
これだけ絶滅が心配されているのに、日本中がウナギに狂乱乱舞する様子に驚いています。
ただ、たまたま私はウナギが苦手だったのが幸いしているだけで、好きだったら絶滅に加担してしまったかもしれません。


蒲焼きの匂いは好きなのですが、実際に食べると脂っこく感じてしまうのが苦手なのです。
もしかすると大好きだったアナゴの記憶が強すぎて、姿形は似ているけれど「以って非なる魚」に感じて苦手になったのかもしれません。子どもの味覚は許容範囲が狭いですからね。


そういえば、20年ほど前に勤務していた総合病院で、入院食にウナギが出ていました。レトルトの小さなウナギでした。
「自分の勤務先には入院できない、だってウナギの日に当たったら食べられるものがない」とちょっと真剣に悩みました。
1994年の選択メニュー加算が始まった直後でしたが、メインのメニューを選択できる余裕まではなかったのでした。


ところでアナゴの説明を読むと、ウナギ目に属するので、親戚のようなものでしょうか。
それでも、これだけ味に違いがあるのが多様性といえるのかもしれませんね。


改めてWikipediaのアナゴを読むと、こんなにも種類がいたのかと、観察され分類されていることに圧倒されます。
アナゴとウナギぐらいなら見分けられるかもしれませんが、「成魚で全長30cmほどのものからmを超えるものまで種類によって異なる」というだけで、私にはアナゴかそうでないかを見分けられなさそうです。


もうひとつ、トリビアを発見。
東京湾にも生息し、その巨大さから『アナコンダ』とも称される」というダイナンアナゴという種類の存在です。
へびがちょっと苦手だった私が、もし子どもの頃にその存在を知ったら、アナゴを食べることができなくなったかもしれません。
今は、それで食欲を失うこともなく、ぜひ実物を見てみたいと思います。


いやあ、海には多様なウナギ目の生物がいるのですね。




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