イメージのあれこれ  19 <雷>

雷の数を観測しているフランクリンジャパンのサイトに、「雷の基礎知識(気象編)」があります。
さっと目を通したのですが、小学生か中学生の頃に習ったようなわかりやすい説明です。
では簡単かというと、これを見ないで「雷の仕組み」を言葉で説明しなさいと言われてもしどろもどろになりそうです。


ふだんは雷鳴が聞こえても、私の頭の中には雷神のイメージキャラクターが思い浮かぶぐらいです。
こういう基礎知識をそのつど確認することを積み重ねていたら、雷という現象ひとつとっても相当正確な知識が積まれていったのではないかと、雷についてほとんどわかっていない自分を反省するこの夏です。
せめてWikipediaの説明ぐらいは、サクサクと読んで理解できるようになりたいものです。


<さらに、雷についてのあいまいな記憶と思い込み>


雷鳴が聞こえ始めると、以前からまだ解決していない疑問がまた思い浮かびます。
こちらの記事の「雨季とスコール」に書いたのですが、東南アジアのある地域に暮らしていた時に、不思議と雷の記憶が全くないのです。
「熱帯には雷が発生しないのか」と思ったくらいです。


今回、たまたま「2万個の落雷」で検索していたら見つけた「異常気象を追う」というエッセイの中に、日本とは違う気候での雷について書かれていました。

世界的にみれば、中緯度では雷が活発なのは夏である。積乱雲がよく発達するのは中緯度では夏だから、積乱雲の中に発生する雷が夏に多いのは当然である。四季がない熱帯では毎日のように午後から夕方にかけて雷を伴う夕立がある。特に雨季ではこの雷雨活動が激しい。赤道地方では雷日数は100日以上に達し、ナイジェリアやケニアなどでは180日を超えるところさえある。2〜3日に1日は雷雨があるという頻度はすごい。一方、高緯度では積乱雲の発達が悪いので、雷の発生は少ない。


なるほど、緯度によって雷の発生に差があって、やはり熱帯では雷雨が起こりやすいということですね。
なぜ、私は激しいスコールは覚えているのに雷の記憶がないのでしょうか。


ただ、次の文章に出てくる「局地気候学」という言葉で、もしかしたら私がいた地域は比較的雷が少なかった可能性もあるかもしれないと思ったのですが、30年前のあの地域の正確なデーターがあるかどうかも怪しいところです。

かなり以前のことだが、石川県小松基地航空自衛隊機が冬の雷に打たれて墜落した。その時の隊長の談話が新聞に乗っていたが、「。。。冬に雷があるとは思っていなかった。。。」とあった。私はこの記事を読んで、"この人たちは、アメリカか日本のごく一般的な気象学の教科書で学んだだけで、日本の局地気候学を全く学んでいなかったのだろう"と思った記憶がある。

検索すると、1969年2月8日の事故のようです。


当時のことはわからないのですが、私が「冬に雷が起こる」ことを体験したのはここ10年ほどのことでした。
「雷は夏に起こる。気温が高いと起こりやすい」と思い込んでいたのです。


Wikipediaの「各地の雷」を読むと、「北陸地方新潟県山形県庄内地方秋田県などの日本海沿岸では、冬季に目立って多く発生することから、冬季雷とも呼ばれる」とあり、「気象庁国内観測点の雷日数の統計値」には、比較的多い北関東よりも日本海沿岸の方が雷日数が多いことが書かれてちょっとびっくりです。



冬季雷のメカニズムを読むと、私の雷のイメージがいかに偏ったものかを感じました。

冬季雷は、夏期のものが積乱雲から地面に向かって放電するのに対し地面から積乱雲に向かって、上向きに放電し、発生硬度も300ないし500メートルと低い(夏季の雷の発生高度は3,000ないし5,000メートル)。落雷数こそ少ないものの発生のメカニズムから夏季の雷より数百倍のエネルギーを持つものが確認されるほか、一日中発雷することが多く雪やあられを伴うことが多い。また、はっきりとした発雷が無くても瞬間的な停電などの被害が出ることもある。

なんだか雷についてすごく勉強した気分ですが、じきに学問的な説明は忘れてしまい、相変わらずの雷神のイメージキャラクターと、「ハタハタは魚へんに雷と書く」というトリビアぐらいしか残らないことでしょう。
知識が身につくのは本当に大変ですね。




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