世界はひろいな 47 <ニシアフリカコガタワニ>

9月13日の上野動物園Tweetで、ニシアフリカコガタワニの赤ちゃんが生まれて育っている話がありました。

8月13日から21日に、ニシアフリカコガタワニが非公開エリアで7頭ふ化しました。1頭は残念ながらすぐに死亡してしまいましたが、6頭が順調に育っています。子ワニたちは、コオロギや小魚をよく食べていて、時々「クウ、クウ」と鳴きます。公開日は今のところ未定です。


わずか2、3行の文章と写真から、たくさんの疑問や関心が呼び起こされました。


2枚のうちの1枚が、秤の上に乗せられた体重測定の写真でした。
計測値がよく見えなくて、最初「506g」に見えたのですが、拡大したらなんと「50.6g」でした。
何日めの写真なのかわからなかったのですが、出生直後に50gぐらいからどれくらいまで大きくなるのだろう、ワニにも体重減少があるのだろうかなど、知りたいことがたくさんでてきました。


ニシアフリカコガタワニはニシアフリカコビトワニともいわれるようですが、検索していたら「Private Zoo Garden」というサイトに詳しい説明がありました。
全長は1.2〜1.5mぐらい、体重は18〜32kgぐらいのようです。ワニの中では確かに小型かも知れませんが、それでもヒトの身長に近いぐらいの大きさですから、川で出会ったらびっくりですよね。
50gから32kgになったとしたら、640倍に成長するわけで、その成長発達はどうなっているのでしょうか。


繁殖の様子も書かれていました。

一夫多妻で、繁殖期は3〜4月頃に見られる。
雌は植物を利用して、水辺の近くに産卵のための塚状の巣を作り、一度に10個の卵を産むが、多いものは20個ほども産卵する。

卵は85〜105日程で孵化するが、巣を作っている植物は徐々に腐敗していき、その過程で発する熱は卵を保温する効果があると考えられている。また、雌はその間巣を守る習性があるが、ニシアフリカコビトワニの雌は、口内で卵の殻を軽く噛み割って孵化を助け、孵化した子供を水辺まで運んでいくことが知られている。


すごい、「植物が腐敗していくときに熱を発する」ことを利用するなんて、ワニはどうやってそれを知ったのでしょう。
孵化する期間に「85〜105日」の幅があるのは不思議ですが、ヒトで言ったら「早産から過期産」ぐらいの幅になりそうですが、なんでそれだけの時間差があるのでしょうか。
もしかしたら、雌が一頭ずつの孵化を助け、水辺まで運んでいく時間を見越しての時間差なのでしょうか。
雌はどうやって、「この卵はもう孵化を手伝って大丈夫」と判断して割り始めるのでしょうか。
ああ、すごい、としか感想が出てきませんね。


そして、これだけの事実に行き着くまでの観察もすごいですね。


<卵の中と外>


もう一枚の写真は、割れ始めた卵からヒョイと顔を出しているワニの赤ちゃんの写真でした。


鶏などの孵化の瞬間の写真をみると、全身が卵内の液体に濡れてフニャリと出てくるイメージがあります。
あるいは日々、ヒトの胎児から新生児になる瞬間を見る機会があるのですが、生まれた瞬間というのはなんとも頼りないものです。


ところが、ニシアフリカコガタワニの赤ちゃんは、まるで大人のワニを縮小コピーしたかのように凛々しい表情で、世の中を睥睨(へいげい)しているかのようです。


ああ、あの卵の中の世界はどんなになっているのでしょうか。
興味が尽きません。




「世界はひろいな」まとめはこちら