10年ひとむかし 39 <休みが増える社会で、休みが少なくなる>

現在の勤務先では、月に最低10日間の休みが確保されています。
月に6日間の休日だった時代に比べれば、ずいぶんと労働条件が改善されました。
今後はさらに、8時間という労働の中身についても見直されていくといいなと思います。


週休二日への動きが始まったのが1980年代半ばで、1990年代から2000年代には公立の小中学校も週休2日になり、社会全体に休みが増えていった中で、相反するように休業日が少なくなっていったのがデパートなどの商業施設でした。


80年代ぐらいまで、必ずデパートは週に1日休みの日がありました。
だいたいは平日の水曜日か木曜日で、私のように交代制勤務で平日が休みになることもあると、「ああ、今日はデパートは休みだ」とがっかりすることもありました。
また閉店時間も18時で、仕事が終わってからの買い物ということはほとんど不可能でした。


いつの間にか、毎日いつでも空いていることが当たり前になり、最近では20時とか21時の閉店と営業時間も長くなりました。


昔はデパートも週に一回休みだったという話題は、ちらほら耳にするのですが、それがいつ頃からだったのかも記憶が曖昧です。
いつの間にか、空気や水がタダ同然のように、デパートも毎日開いていて当たり前という感覚になっています。



その記憶の曖昧な時期のことが気になっていたのですが、「FASHONSNAP.COM」というサイトの「百貨店の休業日復活とサービス向上」(2012年7月10日)という記事が参考になりました。

 7月3日付けの織研新聞の1面下段の「め・て・みみ」欄に百貨店の休業日のことが記載されていました。1991年に比べて総営業時間は約3割増え、休業日数は年間39日から3日へと大幅に減ったそうです。これだけ営業時間を増やしながら百貨店全体の売り上げが落ち込んでいるのは、販売現場の勤務シフトが組みにくくなってサービス体制が弱体化し、お取引先の販売員確保そのものも難しくなったことが原因、とありました。

 かつて百貨店には毎週定休日がありました。弊社は火曜日、お隣の三越は月曜日、伊勢丹は確か水曜日でした。そしてそれぞれこの定休日明けの水曜日、火曜日、木曜日にウインドーデイスプレイ、売り場のVP装飾が切り替わり、催事場では次のイベントがスタート、定休日はその準備、売り場の補修工事もやれました。しかし毎週の定休日がなくなり、ウインドーの切り替えやイベントの準備などは旧定休日の閉店ごに。お取引先の販売担当や装飾業者スタッフ、百貨店の担当者は深夜まで残業するのが当たり前になり、補修工事は簡単な作業以外できなくなりました。


1990年代に、デパートの定休日がなくなっていったようですが、検索しても個別の百貨店の細かな経過はなかなか見付け出せませんでした。


WWWD」というサイトの「三越伊勢丹が3店舗で営業時間を短縮 販売員の働く環境を改善」(2016年1月5日)という記事の中で、「百貨店は1995年以降、消費者のライフスタイルの変化や大店法の改正、ショッピングセンターとの競合激化などで、営業時間と営業日が延長の一途になった。首都圏では10時開店・20時閉店の10時間営業が定着した。」と書かれていました。


1995年ごろに大きく変化したのですね。
ただ、「NISSENREN」というサイトの「大店法廃止と不眠不休型小売店の解禁」(2011年6月)では、「デパート業界は、2000年に大店法が廃止されて以来、定休日を廃止してきたのですが」と書かれていました。
いずれにしても90年代半ばあたりからの変化で便利になった分、長時間労働と夜間の業務が増えて、週休2日制という休みが増えた社会で休めない仕事もまた増えてしまったのでしょうか。
どの業界も大変ですね。


デパートに定休日があったのはずいぶんと昔のような気がしていたのですが、90年代半ばという比較的最近のことなのかという感覚と、もう定休日がなくなって20年以上も経ったのかというちょっと混乱した感覚になりました。




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