横文字のあれこれ 4 <バズる>

今日は、横文字というより和製英語の話でしょうか。
私が中学生以来ほとんど使うことも耳にすることもなかった英単語を最近よく耳にするようになり、こんな意味になるのかとちょっと驚いています。


buzzって確か、蜂がブンブンいうという意味だったように記憶していました。
でも、東南アジアで英語で日常生活をおくっていた時にもほぼ一度も出番がない言葉でした。
当時の生活圏ではハエはけっこういたのですが、蜂などのような「ブンブン」と飛ぶ昆虫が身の回りにいなかったので使う機会がなかったのだろうと思います。
もし、buzzという動詞で表現せずに、「ブンブン」という擬声語で言ったらきっと笑われていたにちがいありません。


大辞林第三飯」では「ハチや機械などが発する、ブンブン唸るような低い音。人のがやがや話す声」と書かれていて、昆虫の羽音だけではない意味もあるのですね。


さらに、最近はこんな意味が。

バズるweblio「実用日本語表現辞典」より)


短期間で爆発的に話題が広がり、多くの人の耳目や注目を集め、巷を席巻すること、と言った意味で用いられる言い回し。主にインターネット上におけるソーシャルメデイア等を通じた拡散などについて用いられる。


たとえばTwitterツイッター)上で盛大にツイートされて拡散・炎上している状況はバズっている典型的な状況といえる。もちろんTwitter上での拡散だけが「バズる」と表現される現象であるという訳ではない。


「バズる」の由来は英語の動詞bezzを日本語化した語と捉えられる。語尾「る」を活用することで「バズっている」「バズった」という風に文脈に応じた使い方ができる。


バズる話題はポジティブかネガティブかという要素には依存せず、美談・不祥事・炎上発言・ゴシップネタ・あるあるネタ・新商品、等々、さまざまな物事やキーワードに対して使われる。ただし、ネガティブ寄りの話題でバズっている状況は「バズる」よりも「炎上」の語で表現される。


時間とともに、ひとつの単語でも意味が増えて、解説も複雑になりますね。
でもまあ、一言で言えば「人のがやがや話す声」のインターネット版といった感じでしょうか。
ただ、あっという間に世界中にまで広がる危険があるので、ちょっと怖いですけれど。



デジタル大辞泉」の「バズ(Buzz)」には「うわさ話。口伝えに広まる評判。『バズマーケティング』」と書かれていました。
「バズマーケティング」という言葉自体、90年代以降の新しい言葉でしょうか。


同じweblioの「IT用語辞典バイナリ」では、インターネット上の「バズる」について以下のように書かれています。

バズるとが、インターネット上での口コミなどを通じて一躍話題となるさま、各種メデイアや一般消費者の話題を席巻するありさまを表す語である。


バズるという語は英語の動詞buzzを日本語化した言い方である。buzzには「噂話などでガヤガヤ騒ぐ」といった意味合いの用法がある。英語圏でも「buzz」はいわゆる口コミやマーケティングの根幹に位置する示す*キーワードであり口コミによる拡散を誘導するマーケティング手法を「バズマーケティング」と呼ぶことも多い。
(*「位置するを示す」だと思うのですが、原文のママ)


「バズる」という表現は、もっぱら短期間に爆発的に話題が広がる場合に用いられる。ある程度の時間をかけてじわじわと話題を広げていくさまは「バイラル」(viral)の語で表現される


バズる状況と同様に短期間に一挙に話題を席巻するものの、好意的な意味・関心ではなく、むしろ反感や嫌悪感に基づく非難・批判によって話題を席巻する、という状況はバズるとは呼ばれず「炎上」と呼ばれる

まあいずれにしても、こういう手法を使う側は、「人ががやがやしている状況」が苦手な人が社会にどれくらいいるか知らないのだろうなと感じることも多いですね。


私が「バズっている」あるいは「炎上している」話題かどうかの見分けは、それを読んだ時に私自身の血圧と心拍数が上がるかどうかあたりです。
強い感情に押されて正義感に燃えて理想を語っていた時期を思い出して、ちょっと血圧が上がりそうになるような状況は、そっと引くようにしています。


蜂がブンブンいっているのはちょっと怖いけれど、ヒトのブンブンの方がもっと怖いですからね。





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