イメージのあれこれ  22 地味に花が咲き実になる

晩秋というより冬に入った頃、散歩をしているとどこからともなく甘い香りが漂ってくることがあります。

ただ、においそのものを言葉で表現するのも難しいので、「あの香り」が何からくるのかたどり着くのは結構時間がかかりました。

 

なんと、びわの花だとようやく気づきました。

来年は花を愛でるようにしたいと3年以上前に書いておきながら、地味な花の存在を忘れて相変わらず美味しそうなびわの実だけ関心が向いていたのでした。

 

 

Wikipediaの「植物学的特徴」に、「花期は11月〜2月、香りのよい白い5弁の花を群がりつける」とあるのですが、実際には遠目には茶色い枯れた何かが集まっているように見えます。そういえば、この年末のころに、びわの枝の先端がこの茶色いもので賑やかになるような印象はありました。

あれが、びわの花だったのですね。

もう一度、Wikipediaの説明をよく読むと、「枝葉は春・夏・秋と3度伸長する」「花芽は主に春枝の先端に着く」とあります。こうした一つ一つの事象が言葉で表現されるようになるまで、どれほどの時間が必要だったのでしょう。

いやはや、定点観測なんて言葉をしょっちゅう使っているけれど、観察するということは生半可なことではないですね。

 

花は地味だけれどとても良い香りがして、3年前の記事に山口(産婦人科)さんがかきこんでくださったように「花はメジロなどのよいご飯になっている」そうで、あの一見枯れた花びらのような塊の周囲には、いろいろな生物が集まって一つの世界を作っているのでしょう。

 

そして半年かけて、実になっていく。

 

ヒトの世界だと見た目や言動の華やかさの方が耳目を集められやすいけれど、なんだかこのびわの花のように地味で気づかれないけれど堅実に生きているという世界がいいなとしんみりしたのでした。

 

 

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