東北新幹線は宇都宮まで利用したことがあって、たしか1時間ぐらい乗っていた記憶があります。
都内から宇都宮までと秋田までの距離を地図で眺めると、秋田までは新幹線を使っても数時間ぐらいかかるのだろうと思っていました。
計画が現実味をおびてきて時刻表で確認すると、なんと3時間半なので驚きました。
初めての秋田新幹線です。
わくわくしてWikipediaの秋田新幹線を読み始めたら、「ミニ新幹線」という聞きなれない言葉が出てきたのでした。
「概要」にこんな説明があります。
1977年(平成9年)、全国新幹線鉄道整備法に基づかない新在直通方式のミニ新幹線として開業した。同法では「主たる区間を200km/h以上の高速度で走行できる幹線鉄道」を新幹線と定義しており、法律上は、盛岡駅・秋田駅間はあくまで在来線であって新幹線ではない。
新幹線が好きなのですが東海道・山陽新幹線がほとんどだったので、新幹線といえば速度ももちろんですが線路が在来線とは全く分けられていると思っていました。
「あくまで在来線であって新幹線ではない」
一瞬、意味がわかりませんでした。
*盛岡〜秋田間を走る*
盛岡駅から東北新幹線と分かれて走り始めました。どんな路線なのだろうと楽しみにしていました。
在来線のしかも単線の線路を走る新幹線なんて、ちょっとシュールです。この場合は、よい意味での超現実的という感じ。
家のすぐそばを走り、小さな川や風景までよく見えました。
水田のそばも通ります。
両親が住んでいた地域へ向かう、単線を走る特急列車と似ていました。でも車体は新幹線ですからね。
そのうちに、途中駅で「上り列車待ち合わせのため2分間停車」というアナウンスが入り、山の中の駅で停車しました。
こだまがひかりやのぞみに追い越されるのは東海道新幹線でもありますが、反対側の列車の待ち合わせがあるなんて驚きました。
ここはどこなのだろうとGPSで確認しようとしましたが、「圏外」でした。
これが「運行形態」に書かれている、「田沢湖線内はすべて単線なので、新幹線列車が普通列車との行き違いのために待ち合わせをすることもある」ということであるとわかりました。
上り列車は普通列車ではなく新幹線でしたが、新幹線同士が待ち合わせをするのも初めての体験でした。
待つ間、奥深い山の新緑を眺め、沢に流れる清流を眺め、ふと線路脇を見るとスミレがあちこちに群生しているではありませんか。
200km/h以上の速度で通過したら絶対に見えない世界でした。
駅の近くには雪囲いのような場所もあり、線路沿いの斜面には木や石を積み重ねた山腹工が見えます。
厳しい自然の中で、誰かがこうして保線業務をされているから安全にそして速く秋田まで行けるようになったのですね。
秋田新幹線の「年表」を見ると、2006年には大雪で運休が2回あったようですが、それ以外は2011年の東日本大震災で全線開通までに1ヶ月半ほど要した以外は、運行しているようです。
実際に走って見て、すごいことだと思いました。
さて、もうひとつ秋田新幹線の特徴に、「大曲駅では、田沢湖線と奥羽本線の接続配線の都合によりスイッチバックする」とあります。
「大曲」の字のごとく、地図で見ると線路がぐっと曲がっています。
どんな地形だろうとわくわくしていましたが、一見、線路を曲げなければいけないほどの地形でもなさそうな印象で、その理由がわかりませんでした。
スイッチバックするので、ここから秋田までは進行方向とは逆の向きに座って風景を見ることになりました。
新幹線が在来線を走る秋田新幹線、景色も良くてまた乗ってみたいものです。
今度は在来線に乗って、沿道から新幹線を見るのも面白いかもしれません。
「境界線のあれこれ」まとめはこちら。