水のあれこれ 111 水陸両用車

1982年か83年ごろの夏に、佐賀県へ行きました。

佐賀出身の友人に誘われての、初めての九州旅行でした。子どもの頃からなぜか白地に藍の食器が好きで、その旅行では重いのに5枚組のお皿と大鉢を買って帰りました。

今も、割れずに使っています。

この食器を見るたびにほぼ毎日のように佐賀を思い出していて、来年あたりは九州の川と海を見に行きたいと、私の旅の計画ノートに案がいくつか書き込まれました。

 

その佐賀で、集中豪雨による災害が起きました。

長崎県から佐賀県、福岡県までの広い範囲にかけて、長時間にわたる線状降水帯による集中豪雨が発生、8月28日を中心として各地点で観測史上1位の記録を更新した。 

発表および報道によると福岡県八女市で1名と佐賀県武雄市で2名が死亡、武雄市で1名が行方不明となっている。死者・行方不明者のうち武雄市で住宅内の1名のほかは、いずれも車に乗車中だったと見られている。

 

ニュースでは、乗車中に浸水しそうになったら水圧でドアが開かなくなる前に逃げるように呼びかけていましたが、急激に増水する濁流の前で外に出る判断のほうが私には難しそうです。

 

車中で閉じ込められて亡くなる恐怖心はいかばかりでしょうか。

水害の季節になると、運転はしない私ですが、乗客として乗っていても咄嗟の判断ができるだろうかと心配になります。

そして稲穂も見えなくなるような浸水した地域で車の屋根だけが見えている情景に、ふと水陸両用車の仕様にしたらどうなのだろうと思いついたのですが、きっと素人考えは誰もが思いつきそうですね。

 

まずは、「日本においては水上を走行する場合、船舶の扱いとなるため、運転手は通常の自動車運転免許のほか、船舶免許も所持する必要がある」で、そりゃあそうだと思いました。

簡単に水陸両用車にすれば、水の中に乗り込んでいく不届き者も出てきそうですし、濁流の中それぞれが運転したら事故は増えそうですね。

 

お台場や山中湖の観光用水陸両用バスのニュースは耳にしていましたが、外国では一般車両としても販売されていることがWikipediaに書かれていました。

水上での航行に耐えるように水密構造になっている他、末尾に航行用のスクリューを装備しているものが多い。 

 

あの浸水した車は廃車になってしまうのでしょうから、災害時に運転はできなくても一時的に浮きながら、水が引いたらすぐに乗れるというのはどうだろう。

ああでもやっぱり、浮いた車が濁流でぶつかりあったらそれも大変そうですね。

 

あちこちの水田地帯を見て歩いていると、小回りのきく軽自動車がなければ生活は成り立たないだろうと思います。

 

車窓から見ていても、自宅から水田まででも歩いたら20分か30分ぐらいかかりそうです。軽自動車がなかった時代は、水田や畑までの往復時間と農機具や収穫物の移送も大変だったことでしょう。

父が運転免許を取った1960年代初頭はまだ運転免許があるほうが珍しいくらいでしたから、祖父や曽祖父は歩いて農作業に行っていた時代だったのだと、広大な水田地帯を見て愕然としています。

農道に軽自動車が停まっているあたりまえのような風景も、たかだか半世紀ほどのことだったと。

 

水田や畑は水害を受けやすい場所にあるので、水害に耐えられる車が開発されないかなと次世代の車を妄想しています。

災害史から、それこそ転んでもただでは起きない、新しい発想とか技術が出てくるかもしれませんね。

 

 

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