運動のあれこれ 32 災害時に「母乳育児推進運動」がすっと入ってくる

日頃はTwitterとは無縁ですが、さすがにあの災害時の出勤の情報収集のためにちょっと眺めさせてもらいました。

その中でこの台風は尋常じゃあないよと呼びかけ続けていたお一人に、荒木健太郎氏がいらっしゃいました。

正直なところ「本当に大変なことになるのかな」と気を緩めそうになる時に、気象庁の専門家が本気でtweetされているのだからと気を引き締めて過ごすことができました。

 

*防災に「ほ乳類」を持ち出す背景は?*

 

その後も大雨が多かったので、時々tweetを読んでいたのですが、10月30日の「災害時の乳幼児栄養についての解説です。被災地で小さなお子さまとご一緒の皆様に届きますように」とある漫画を紹介されていました。

 

漫画はこんな説明から始まっていました。

ほ乳類には敵から逃げる時、乳を押し出すのを一時的に止め、安全になると出るという仕組みがあります。これは乳が漏れていると、敵に行き先を嗅ぎつけられてしまうためと言われています。

それは人間も同じ・・・母乳が押し出されにくく感じてもストレスには関係なく作り続けられているのです。 

 

災害時「ストレスで母乳が止まる」って聞きましたけれど・・・

それはよくある誤解!安全になると出る仕組みが人間にもあるの。

だからほ乳類と同じで安心できる場所を用意することがとっても大事なの。 

 

「ほ乳類」といわれても、体長2cmで目も見えない状態で生まれて、産道から母のお腹にある袋に独力でたどり着くコアラとヒトは全く別ですし、種によってその生殖から出産、子育てまでさまざまですね。

 

日頃、ヒトの乳児に関わっている医療従事者に、「ヒトもほ乳類だから災害時にも安全な場所を確保すれば授乳も大丈夫ですよね」と質問したら、唐突な問いに戸惑い、「わからない」としか答えられない ですね。

どのような状況でも出続けるほどヒトの母乳はミラクルではないという現実が、日々、私たちの葛藤でもあるわけなので。

 

過酷な避難生活の中でも、たまたま母乳だけでうまくいく親子もいることでしょう。

でもみんながそうできるわけでも、そうしたいわけでもない。

 

 *避難所の改善という本質問題を見えにくくさせる*

 

それまでの生活の状況も背景も、ひとりひとり全く異なります。 

家族や友人の安否や、自宅やこれからの生活がどうなるのかという不安、避難所でなんとか生活をしていくための非日常の生活を維持していくためには、日常のストレスの比ではないと思います。

 

以前に比べれば格段に改善されているとはいえ、避難所で大勢の方が雑魚寝している状況をニュースで見るにつけ、「自分だったら耐えられない」と思います。

避難生活も個室が当たり前の時代になるといいですね。

それだけでも、辛い状況でホッと一息つけるのではないかと。

 

災害時の避難所の居住空間の問題提起をするのに、母乳やほ乳類を持ち出さなないほうが本質的な改善に近づけると思いました。

災害をプロパガンダの機会にしている情報には要注意ですね。

 

 

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