水のあれこれ 120 福島浜通りの川

「なぜこの地域には大きな河川がないのでしょう。いつかその答えにたどり着けるといいのですが」とこちらに書いたのですが、偶然にも調査報告書の「福島沿岸の概要」にまとめられていました。

 

福島沿岸は、太平洋に面した福島県新地町からいわき市に至る延長167kmの海岸である。海岸線は全体的に直線上の形状であり、北部の相馬地方と南部のいわき地方は比較的長い砂浜が広がっている。中部の双葉地方は海岸線まで丘陵がせまり、高さ20~30mの崖となっている。

保全海岸は約111kmにもおよぶ。浜通りの河川は二級河川であり、主な河川には、真野川、新田川、請戸川、木戸川、夏井川、鮫川がある。いずれも阿武隈山地に源を発する急流河川で流域は狭いために、水源に乏しく、また年間降水量も1400mmに満たないので、流域には大小様々なため池が見られる。今回の調査地の多くが干拓地であり、中でも八沢浦干拓地が広く知られている。干拓地では、末端に排水機場(湛水防除)を備えているが、津波による被災の結果、機能していない状況が続いている。 

 

浜通り中通りの間に阿武隈山地があり、海岸側は小さい河川で平野部が少なく、中通りは河川が集まり会いながら阿武隈川がつくりだした広い土地が宮城県の沿岸まで続いているという感じでしょうか。

 

そんな大きな阿武隈川でも、左岸側は安積疎水ができるまでは農業には向かない原野であったようですから、「福島県」あるいは「中通り」「浜通り」「会津」といっても一様ではない地理なのですね。

 

日本の津々浦々で水田や畑が広がる風景を見るようになったのは、やはりわずか一世紀ほどのことなのでしょうか。

 

水を得て生きていくこと、その水から身を守ること。

それぞれの地域を知るには、ほんとうに時間がいくらあっても足りませんね。

 

鶴見良行さんの足元にも及ばないのですが、「あそこの島にはこういう人たちがいて、こういう生きざまで暮らしていました。こういう形の魚を採っていました。その魚はどこどこへ運ばれていました、ということを、とにかく見て歩く」と書かれていた意味が少しわかるようになってきました。

 

 

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