反動から中庸へ 8 新しいものは古くなり、古いものは新しくなる

久しぶりの「反動から中庸へ」ですが、このタイトルは服の流行から思いついたのですが、出産とか授乳方法でも思うところがあっていくつか書いたものがあります。

 

最近は、散歩をしていて「新しいものは古くなり、古いものは新しくなる」と感じることがしばしばあります。

例えば古い家屋は、北欧調の色彩やデザインに憧れていた1970年代から80年代ごろの私にはほとんど目に入らないものでした。

そのくせ、東南アジアなどで古い建物や家具を見つけると惹きつけられていたのに、日本に帰ってくるとモダンではない存在には魅力を感じなかったのでした。

 

あれから四半世紀以上たって、東北や北陸などあちこちの風景をみて、無形文化財とか保護の対象になるような伝統的な家屋だけでなく、普通の民家や通りにも惹かれるのです。

 

たとえば、あの堀江猫実のような場所です。

明治44年に建てられた旧浦安庁舎は「当時としては極めてモダンな建物」だったのだと思いますが、おそらく、モダンから古臭い庁舎とされた時代を経て、今は「超モダン」な存在です。

それだけでなく、おそらく90年代ごろにはビルを中心にした近代的な街にという雰囲気の中で取り残されていた存在だったのだろうなと思うような街並みが、今はモダンに感じるのです。

70年代、80年代にこぞってビルや大きな建物に変化した場所の方が、今はちょっと古臭く感じます。

 

そんなことを感じるこの頃ですが、先日、母に会うためにいつもの列車に乗りました。

 

母がいる地方都市へ行くためには、ちょっと山の中を列車が走ります。

あちこちの山肌から水が湧き出ていて沢になっているのは、今までも目に入っていましたが、あっと思いました。

その沢水を引いた小さな水路は、ただのコンクリートで固めたものでしたが、ある家のところで洗い場だったのだろうと思われる場所が見えました。

ああ、まるでお鷹の道で見た洗い場と同じではないですか。

 

自分がかつて住んでいて「古臭い」と思った風景が、実は今私がすてきだと思って歩き回っている風景でした。

 

 

 

「反動から中庸へ」まとめは こちら