散歩をする 203 お鷹の道から上谷戸親水公園へ

中央線国分寺駅の南側の地図を見ると、駅のロータリーから少しまっすぐな道が何本が放射状に伸びた後は、くねくねと蛇行する道蜘蛛の糸のように広がっていきます。

2年ほど前に西国分寺からお鷹の道を歩いたので、今ではこの国分寺崖線の地形野川の流れを思い浮かべることができます。

 

今年のお正月に仕事が休みの日があったら、またお鷹の道に行ってみよう。

きっと静かに違いない。

そう思って楽しみにしていました。

 

国分寺駅からお鷹の道へ*

 

今回は国分寺駅からスタートしました。駅を出て200mもしないくらいの場所から、一気に下り坂になり、野川といくつかの支流が合流する部分につきあたります。

すでにあちこちから水の音が聴こえて、心が洗われるようです。

前回とは反対側から蛇行する道を歩いていると道に迷いそうになりましたが、記憶に残っている場所があり、無事にお鷹の道に到着しました。

 

初詣の帰りに立ち寄っているのでしょうか。何人もすれ違いましたが、その話し声さえ消してくれるような水の音です。

新年早々、湧き水に惹きつけられてここを訪ねる人が多いということは、人の生活にとって何か大事なものがあるのかもしれませんね。

 

1960年代ごろからの都市化の波で、川は生活排水を処理する場所に使われて振り向かれもしなかった時代に、よくこんなに美しい場所を残してくださったものです。このあたりに住む方々、そして残すために尽力してくださった方々にとっては、どんな半世紀だったのでしょうか。

 

府中街道から対岸へ*

 

初春の明るい日差しの中、ここからは府中街道沿いに多摩川へ向かって歩きました。

府中街道五日市街道と小金井街道の交差点と同じく、小学生ごろに何度か通った記憶があります。

府中刑務所の前を通過するときには子どもながらに何かを感じて緊張していたこと、そしてその周辺は畑だけでうら寂しい場所だったことが記憶としてあります。

久しぶりに通ってみたら、刑務所のそばまで住宅がたくさん建っていて全く違う風景になっていました。

 

この日はこれから、多摩川の対岸部分を歩く予定です。まだ道のりは長いので、北府中駅から南多摩駅までは武蔵野線から南武線に乗り継いで行きました。

多摩川の左岸はすでに結構歩きましたが、右岸側は二ヶ領用水秋留台地の一部を歩いたくらいです。

 

お鷹の道の対岸はどんな感じなのだろうと地図を眺めていたら、稲城市内を流れる川の先に「上谷戸親水公園」を見つけました。

最近では「谷戸」とか「谷津」と聞くと心が震え、ぜひその地を見たいと思うほどです。

 

この川に沿って公園まで歩く、散歩のコースが決まりました。

 

*三沢川から上谷戸親水公園へ*

 

稲城市のHPに紹介がありました。

谷戸親水(かさやとしんすい)公園が、上谷戸地区(かさやとちく)の中央を流れる上谷戸川(かさやとがわ)の周辺を自然観察や水遊びができる親水公園として、周辺地区と一体になった景観となるように整備し、平成17年度に全体が完成しました。整備につきましては、自然形態を残した流路(りゅうろ)とし、護岸は自然石を使用した空積みとしており、動植物の生息空間に配慮しています。

また、植栽についても周辺民有樹林や、屋敷林との調和の取れた、地域特性にあった植樹や、草花を選択し植栽しております。

 

南多摩駅を出て大丸という交差点あたりから、水路がありました。右手に小高い山があり、そのどこからか湧き水があるようです。

しばらく、その小高い山の中腹に沿った山崎通りを歩きました。鶴川街道へと続く道で、おそらく昔からの集落だろうと思われる家や寺社があり、その山の上に、あちこちの散歩で見かけた水道のタンクと思われる施設が見え、その下に水道管理所がありました。やはり水源になる場所があるようです。

 

道なりに歩いていると、しだいに山の上も新しい家やマンションが見え始め、稲城駅前に出ました。ここからは三沢川沿って歩く予定ですが、想像よりは水量が多い川で、幅が広く護岸され、遊歩道も整備されていました。

 

並走する鶴川街道は車がひっきりなしに通過していましたが、こちらの遊歩道は周辺に残る棚田や畑を眺めながら静かです。

ところが突如として遊歩道が終わり、上谷戸親水公園に行くにはいったん小高い場所の山肌に沿った道を行くしかなさそうです。あやうく道に迷うところでしたが、GPSのおかげでなんとかたどり着けました。

 

しばらく上り坂を歩くと、静かな住宅地の中にその親水公園はありました。

椅子に腰掛けて、水の流れや周囲の木や竹に囲まれた風景を楽しみました。静かな山里にいるかのようです。

 

地図では水源と思われる場所まで公園が繋がっています。

きっと人里離れた山の中だろうと心細くなったことと、歩き疲れたのでコミュニテイバスで若葉台駅まで行くことにしました。

 なんと、バスはずっとその親水公園の川の流れに沿って上流へと走っています。あきらめた場所を見ることができてラッキーです。

ところが人里離れた場所というイメージとは違って、水源までくるとその谷戸の崖の上は若葉台駅前のマンション群と若葉台公園として整備されていました。これもまた迅速に平地にする技術ゆえでしょうか。

 

すぐそばを京王相模原線が通っていて、車窓から見ていた風景を実際に歩くことで、今昔のいろいろを発見した散歩でした。

 

 

「散歩をする」まとめはこちら

ハケや崖線の散歩のまとめはこちら