存在する 21 身元保証人

2週間ほど前ですが、NHKの「おはよう日本」の「入院時に"保証人"を求められ、困っています」(2020年2月15日)という記事がありました。

 

医療機関で40年ほど働いてきて、医療職として「保証人がいない人は不安だなあ」という気持ちと、私自身は「保証人がいらないほうがいい」という気持ちで葛藤する問題です。

家族や親戚に面倒をかけたくないという消極的な理由もありますが、どちらかというと、私個人を自分で証明し自分のことは自分で責任を持つ方法ができてほしいという、むしろ積極的な理由です。

 

記録のためにその記事を書き写しておきます。

視聴者から寄せられた身の回りのお困りごとを調べる、おはサタ調査班。

今回の投稿はこちらです。『68歳の老人です。入院には保証人が必要になります。妻には先立たれ、子どももいません。どうしたら良いものか悩んでいます』。実際に話を聞いて調べてみると、多くの人にとって、ひと事ではない悩みであることが分かってきました。 

 

身元保証人がいないと入院できない!?

 

静岡県にすむ鈴木謙治さん、68歳です。

投稿のきっかけは、以前患った脳梗塞にその後異常が出ていないか、検査入院をしたことでした。

 

お便りを送ってくれた鈴木謙治さん(68)

「検査の予約票みたいなもの。『ご家族の方と一緒にお越しください』って、ここが引っかかるんですよね。」

 

入院には、身元保証人となる「家族」が必要だと言われたのです。

 

入院の身元保証人とは一般的に、

①治療の支払いを保証

②治療方針の相談にのる

③緊急の連絡先

④本人が亡くなった際に遺体引き取り

などが求められています。

 

自動車の塗装会社を経営しながら、妻の二三代さんと2人で暮らしてきた鈴木さん。以前の入院では妻が身元保証人になっていました。しかし2年前、病気で他界。子どももおらず、近しい親戚もいないため、頼れる身寄りがいなくなってしまったのです。

 

鈴木謙治さん(68)

「役場に相談にいったけど、『そういう(保証人の)相談は無理』と言われて。不安はありました。果たして入院できるかなって。』

1日のみの検査入院だったため、今回は身元保証人が友人でもよいことになりましたが、今後手術が必要な病気になってしまった場合は難しいのではないかと考えています。

鈴木謙治さん(68)

「手術の場合は、ちょっと無理でしょ。これから先(治療を)諦めるしかないのかなと思っていますどね。そういう人がたくさんいると思うので、調べてほしいという気持ち。」

やはり入院するときには、保証人は絶対必要なものでしょうか?

 

今回調べてみたところ、ルール上は違うんです。

厚生労働省は、おととし通知を出して「身元保証人がいないことだけを理由に患者の入院を拒否することは医師法に抵触する」と周知しました。

ただ、現実には、全国でおよそ65%の病院が保証人を求めています。治療費が未払いになったり死亡した後の遺体の引き取り手がいないという事態を避けるためというのがその理由です。

そこで身元保証の問題に詳しい亀井真紀弁護士に聞いて見たところ、「保証金を先に支払ったり、資産額を提示することで、病院の理解を得られるケースもある」ということです。

それでも保証人が必要と言われた場合はどうすれば?

頼れる身寄りがいない人に向けて、身元保証人を代行しているNPOがあります。

 

 

身元保証人を"代行”入院を支えるNPO

 

NPOの職員、佐々木善規さんです。

この日、見舞いに訪れたのは、がんを患い入院している男性。離婚し、家族がいないため、病院から紹介を受けました。

入院中の男性(NPO身元保証人を依頼)

「保証人がいなければ”手術はしない”ってことだったし、頼る人もいないからすごく助かっていますね。」

これは、病院が男性に病状の説明をしたときの書類です。佐々木さんも立ち会い、治療方針について確認し、署名しました。

治療費の保証以外のことであれば、家族がわりとしてさまざまな相談の窓口にもなっています。この日は、病院のソーシャルワーカーから、退院をした場合、他の施設に入所できないか提案を受けました。

病院のソーシャルワーカー

「もし本当に施設に入るとなれば、(すまいを)引き払って、お金もかかりますしね。」

NPOいわてグリーフサポート佐々木善規さん。

「(経済的には)厳しい部分もありますね」

今、佐々木さんのNPO身元保証を引き受けているのは、およそ100人。新しい依頼が日々寄せられています。運営資金は寄付や別の事業による収入で賄っていますが、以来の急増に対応しきれず、断ることも増えているといいます。

NPOいわてグリーフサポート佐々木善規さん。

「どう支援したら良いかというのは、われわれだけではなく、公共・福祉関係・介護の方と一緒になって考えないと、1か所(自分たち)だけでなんとかしようとしても、ちょっと限界が見えてきましたね。」

 

 

”保証人代行ビジネス”増加 悪質な業者に要注意

 

市区町村の社会福祉協議会が行なっているケースもあるが、数はまだまだ少ない。そのため、保証人の代行をビジネスとして行う企業も増えています。

しかし、悪質な業者も問題になっていて、国民生活センターが注意喚起文を出しています。

「契約時の金額から値段が上がった」、「希望していないサービスが追加されている」など、トラブルが相次いでいます。

契約の際は、内容をしっかり理解してから契約し、また不安な時には地域包括支援センターに相談してください。

 

社会のこうしたニーズがニュースになっていくことは良いと思います。

ただ、「頼れる身寄りがない」「どう支援したらいいか」という視点とはちょっと違うのになぁと、もやもやしています。

 

私は、「死ぬ時に、できる限りひとりで、個人として自分の死の後始末をできる契約」があればいいのにという気持ちです。

 

 死を考えていないのかという割には、この身元保証人を求める医療側も、そして社会全体も、まだまだ個人としてのその人よりは家族を含めたその人という見方が根強いのかもしれませんね。

 

ちょっと、そこが私の求めているものとは違うのですけれど。

それを実現できる方法を模索しています。

 

 

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