自分自身が意味を深く理解できていない横文字はあまり使わないようにしているのですが、今日のタイトルは直訳すると「死蔵品」なので、今の社会の雰囲気では避けた方がよさそうですね。
ほかに「売れ残り品」「不良在庫」あたりが日本語のようです。
社会から物がなくなる現象がしばしば起こるようになって2ヶ月、特にマスク、トイレットペーパーがないか、皆さんが店頭を横目で確認しながら歩いているのをひしひしと感じます。
私の住むところでは、テイッシュペーパーは2週間ほど前からいつも店頭で見かけるようになりました。
トイレットペーパーは先日昼間に、運よく、たまたま購入できました。30分後にはもうなくて、それ以来また見かけません。
マスクは日常的に必要とはしていないのですが、母の面会の時に必要ですし、花粉がひどい時や就寝時ののどの保護のために1箱は常備していました。
その在庫が少し心細いことになってきました。
そろそろ街の中からマスクをしている人の姿が減るのではないかと思っていたのですが、通勤中の様子を見ても、街中、真新しそうなマスクをつけている人がほとんどです。
どこから手に入れるのだろう。
大きな会社などでは、今でも、一人に毎月1箱ずつ支給しているところもあるらしい話を聞きました。まあ、伝聞ですが。
ああ、やはりあるところにはあるのだなあと。
布マスク2枚に感じたがっかり感は、「マスクがないのか、それともあるけれどないのか」という禅問答のような疑問に対して、2ヶ月も答えが見えてこなかったことでした。
*在庫管理の全体像*
それは「金を持っている人が買い占めている」という陰謀論的なことではなくて、もしかしたら災害用のストックなどを供出できているのではないかと想像しています。
あのセファゾリン不足の余波でビクシリン供給が不安定になった時にも、知人の周産期センターだとあまり問題にはなっていなかったようです。
施設全体の在庫量が多かったからかもしれません。
ですから「医療機関ではマスクをはじめとしたPPE(個人防護具)が不足している」といっても、医療機関によっても差があるのではないかと想像しています。
というのも、マスクやアルコールの供給が不安定になり始めた頃に、勤務先の業者さんにお話を聞いたら、「その施設の前年度の納品量に合わせてこちらも発注しているので、急な増加には対応しにくい」とのことでした。
どこかの施設が早めに備蓄のために多く発注すれば、他の施設には納入されなくなる可能性がありますね。
*医療機関での在庫管理の10年ひとむかし*
1980年代ごろに勤務した国立病院・市中病院では、薬品や医療物品の在庫チェックと発注をそれぞれの病棟看護師がしていました。
本来の業務の合間にするので、多めに注文しすぎてデッドストックができたり、反対に足りなかったり問題も多いものでした。
90年代に入って、納入業者さんが直接、在庫チェックをしてくれる施設も出はじめました。
これは病院側にとってもデッドストックをなくすことができますし、看護職にとっても負担の軽減になり、とても助かりました。
ただ、この当時はまだ大きな災害に対しての備蓄という感覚はなかったので、おそらくそういう視点が出たのが2011年以降ではないかと思います。
私自身が家でもデッドストックを作らないように、1つ備蓄しそれを開封する前には購入するという方法を取り入れたのはこの1990年代の変化からきているのですが、今回の件から備蓄は1つでは少ないのかなと思うようになりました。
流通システムを知り、デッドストックにならないように、かつ不足しないようにするにはどうしたらよいのだろう、そのあたりの答えを知りたくて情報をながめています。
今回のマスク不足で、少し答えが見つかるかなと思ったのですが、転売した人や早朝から並んで買う人というイメージへの憎悪感が広かるなか、それは全体量から見たらどれくらいの割合なのかということも知りたいですね。
社会の中で「あるところにはあるけれど、ないところはまったくない。いつになってもない」という状況を少しでも減らせるといいですけれどね。
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