4月2日の夜、遅い時間帯のニュースをなにげなく見ました。
最近はだいぶニュース番組も落ち着いてきて、知りたい内容が伝わるようになってきた印象です。報道機関の方々にしても、非常事態のような初めての感染症に対する報道ですから、何をどう伝えるのか、とても大変なことだろうと思います。
「あ、こういう内容を知りたかった」と思ったのは、TBSの番組内でしたか、3月中旬の大分医療センターでの院内感染発生時のことでした。
3月21日の取材の映像が流されていて、「院内感染が疑われた時点で、センターはすぐにクラスター班の調査を依頼した」とのことで、その調査の結果、院内感染対策が徹底されているような大病院でも「死角だった」という指摘があったことが伝えられていました。
それがスタッフの休憩室、だそうです。
おそらくどの施設もそれほど広くはない部屋で一緒に食事を摂ったり会話をしていますから、言われてみればさもありなんです。
病室では感染予防対策を意識していても、一歩離れるとまだまだ隙があるわけですね。
あるいは同じ施設のスタッフ同士だと、気になっていても問題として挙げにくかったりお互いに指摘しずらいようなところに、感染のルートが潜んでいるのだと痛感しました。
これを見逃さなかった調査班の観察に、これが感染症対策の専門家だと思うとともに、この点を取材して記録に残したこともすごいと思います。
こういう事実の積み重ねが、今回の新型コロナウイルス感染を拡大させないためにはとても大事な点かと思われます。
ところが、あまり華々しくない点はニュースにならないのでしょうか、2週間後にたまたま知ることになりました。
*感染症対策は地を這うような泥臭いもの*
院内感染、施設内感染がではじめたころから、「では自分が勤務するところでは何に気をつけたらよいのか」という情報を探していましたが、なかなかこうした「失敗をすぐに生かすための情報」がどこからも届かないのが現状です。
もちろん、原因を特定するためには慎重な検証と時間が必要ですが、とりあえずは可能性でもよいので何をどうしたら良さそうかという情報が欲しいですね。
院内感染標準予防対策が導入されて四半世紀、基本的なところはかなり浸透しているのではないかという印象ですが、現実的にはコストとの兼ね合いで理想と現実との葛藤というグレーゾーンはたくさんあります。
それでも、今回の新型コロナウイルスを経験して、基本は手洗いという地味なことの徹底なのだと痛感しますね。
ただ、院内感染のルートは施設によっても疾患によってもさまざまなので、こうしたクラスター班が指摘したことはどんどんと公開されるとありがたいです。
清掃や物品の消毒、管理をどうしたらよいのか、今のままで大丈夫なのか。
外来、病棟での患者さんの距離や動線はこれでよいのか。
面会者や業者さんの出入りへの対応はどうしたらよいのか。
あるいは空間除菌とか「意味のない対応」をやり過ぎていないかとか。
新たな疾患の高度な知識に埋れてしまいやすいのですが、感染症対策というのは地を這い泥臭く実際の方法を模索していくことの積み重ねなので、そのあたりどうしたらよいか、他の施設の経験に学ぶことはないか、そういう情報が欲しいですね。
こうして観察されたことがリアルタイムに更新され、高次施設から外来だけの施設まで生かされるように、医療機関向けの統一した情報網があると助かります。
「観察する」まとめはこちら。
失敗とかリスクに関する記事のまとめはこちら。