10年ひとむかし  63 口の開け方が変化したのかもしれない

外出自粛でテレビ番組の作成も大変そうですね。急遽、再放送に切り替わっているので、10年前とか20年前のちょっとセピア色の記憶になりつつある映像を観る機会が増えました。

 

たまたまつけたNHKのうたコンで、坂本冬美さんと由紀さおりさんが歌っていました。

最初に映像を見ないで坂本冬美さんの歌を聴いていたのですが、演歌というと「熱唱」というイメージがあります。ふと画面を見て、ちょっと意表をつかれた感じでした。

とても明瞭な発声に聴こえたのですが、ほとんど口を開かずに歌っています。

次に登場された由紀さおりさんの口元にも、目が行きました。やはり、ほとんど口が開いていません。それなのにあれだけのはっきりした声で歌えるのですね。

 

最近、ほとんどの人がマスクで口元を覆っているので、たまにマスクをしていない人やテレビに出演している人の口がなんだか不思議に見えて、目が行くようになりました。

 

 

そして、私が子どもの頃に比べて日本の中での声の出し方や話し方が変化してきたことを漠然と感じていたのですが、この3ヶ月ほどで「いつからこんなに大きな口を開けてしゃべる人が増えたのだろう」「いつからこんなに大きな声で笑ったりしゃべる人が増えたのだろう」と気になりだしています。

 

「大きな口」で気になるのが、テレビに出演する人は皆さん、口の中までよく見えることが多いことですね。黙っている時にも、必ず歯や歯ぐきを見せるのが最近のトレンドなのでしょうか。

そして立て板に水のように早口でまくしたてるような話し方をする人が多くなったのはここ20年とか30年のことではないかと思い返しています。

さらに、最近では語尾というか終わりが「アハハ」「ガハハ」という笑いで終わる人が多くて、電車の中などでも笑い声が多いので賑やかさが増しています。

あの静寂だったプールの更衣室が井戸端になったように、よく喋り、よく笑う人が増えたのかもしれません。

しかも口を大きく開けている人が多い印象なので、顔というよりも口だけが異様に目立って見えてしまうのです。まあ、これは私の妄想のようなものですけれど。

 

「三人寄ればかしましい」は昔からかと思うのですが、どこでも気にせずに大口を開けて大きな声で喋ったり笑ったりする人が増えたのは、やはりお笑いブームのあたりからでしょうか。

 

テレビに出演する方々は皆さん、大きな口を開けているかというとそれだけでもないことを見つけました。

劇団の俳優さんが出ていたトーク番組では、他の俳優さんもほとんど口の中や歯が見えないように話されていました。

劇場だと大きな口を開けて発声するものかと思い込んでいたのですが、ほとんど口を開けなくてもはっきりと言葉が聴き取れ、とても落ち着いた話し方に聞こえました。

 

由紀さおりさんや坂本冬美さんぐらい、口を開かなくてもしっかり発声できるようになれば飛沫も少ないかなということが気になってしまったのは、新型コロナウイルスが理由ですね。

 

あたりまえのように発声してきたけれど、案外とどういう喋りかたが社会的に良いのかということを気にしたことがなかったと、人の口元に目がいくこの3ヶ月でした。

 

 

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