記録のあれこれ 72 渋谷駅のホームが並んだ

年末に数日でごっそりと河岸段丘の地形がなくなった渋谷駅周辺ですが、5月終わりにもうひとつ大きな変化がありました。

恵比寿側の南よりにあった埼京線のホームが、山手線と並列になりました。

 

数年前から少しずつ工事が進められていて、山手線のホームの真ん前に並ぶようになるとのことだったので、どこがどう変化していくのだろうと興味を持って眺めていました。

 

渋谷駅は緩やかなカーブを描いた長いホームですが、山手線と埼京線の線路はそれまで高さが違っていました。

山手線より内側を走る埼京線の線路は一段低い場所を通っていて、その高さのまま恵比寿駅と繋がっていました。

新しいホームは山手線の高さに合わせるように造られていたので、1.5mから2mほどそれまでのレールの位置を上げる必要があるようでした。

 

5月30日と31日の2日間、運休にしてその間にレールの付け替えを行うお知らせが1ヶ月ほど前から張り出されていました。

 

どうやって、あのレールの高さをあげるのだろう。

少しずつ線路周辺の工事は行われていたのですが、前日まではレールの部分はそのままでした。

 

5月30日朝、山手線に乗る機会があって目を見張りました。

千人近い方々がホーム上にいて、すでにレールが取り外され束ねられていました。千人というのはいい加減な数字ですが、例えればそこそこ混雑した山手線から一斉に乗客が降りたかのような人数で、工事が進められていました。

レールを止めるネジや部品が整然とカゴに入れられています。線路の下にも何か電気系統のコードがあるらしく、下にもぐってそれを取り外す作業をしている方もいました。

 

工事期間は2日間ですから、この後、どうやって線路の本体を1.5mほど高くしてホームに合わせるのだろう。

気になって、次の日も渋谷に行って見ました。

午後2時ごろだったと思うのですが、その時にはすでにかさ上げされたかのように線路の位置が高くなって、レールが固定されていました。

 

そして6月1日には、今まで遠くに見えていた埼京線のホームが山手線の目の前に並んで、何事もなかったように列車が走り、乗り降りしていたのでした。

 

「鉄道ニュース」に「渋谷駅の山手線・埼京線ホームが並列化される」という記事がありました。

 JR東日本では、2020(令和2年)5月29日(金)22時ごろから6月1日(月)ごろまでの間、渋谷駅での線路切替工事が行われ、山手線・埼京線ホームが並列化された。

渋谷駅では、1996(平成8)年3月に埼京線の運転区間が恵比寿まで延伸された際にホームが設置された。この際、用地の関係から山手線のホームよりも南側の位置に島式ホームが設置され、山手線や接続する私鉄各線とは乗り換えに時間を要することとなっていた。その後、2001年(平成13)年の湘南新宿ライン運転開始に合わせて、ホームは15両編成に対応するために南側に延伸されている。

2015(平成27)年から駅改良の本体工事に着手し、駅南側にある埼京線ホームを山手線と並列化する工事が進められ、2018(平成30)年5月25日(金)〜27日(日)と、6月1日(金)〜3日(日)に、埼京線湘南新宿ラインの列車を運休として、線路切り替え工事が実施されて、埼京線上り(南行)を東側の申請つ高架橋に移設し、新宿方にある宮益架道橋が架け替えられた。

今回行われた工事では、埼京線下り(北行)の切換工事が行われた。新しい埼京線ホームは、南改札とハチ公改札の連結し、これまでの埼京線ホームについては、新南改札への連絡通路として整備し、新南改札よりも南側については閉鎖されている。

今後は、山手線内回りを東側に横移動し、山手線内回りホームを拡幅、最後に、山手線内回りを西側に横移動し、山手線ホームを拡幅して1面2線とする工事が行われる予定。

 

 

1970年代から80年代、まだ山手線だけの環状線だった頃によく利用していたのですが、いつの間にか埼京線や新宿湘南ラインが並列して走るようになりました。

山手線のホームから延々と歩き、そして大きな荷物を持った旅行者のために、長い動く歩道がありました。

 

改良工事が始まって、動く歩道が撤去され、そして埼京線ホームでは同じホームなのに下りホームの方が低くなったのは、上の記事を読むと2018年の線路切換工事の時からだったのでしょうか。

その後、「近い将来」は山手線のホームと並列する予定のホームの土台や屋根ができ始めたのでした。

 

 

そして今度は、山手線のホームの工事があるようです。

今までは内回りと外回りのホームが別々で、その移動は中央改札口のコンコースしかなかったのですが、今度は一面のホームになるのですね。

なんでこんなに不便なつくりなのだろうとずっと思っていたのですが、渋谷川に沿ったわずかな土地に線路を走らせるための限界だったのでしょうか。そして、その地形の限界を超えて駅が改良されていることをリアルタイムに見ることができることに、ちょっと感激の毎日です。

 

膨大な利用客と列車本数の中で、安全にこれだけの大工事が並行して行われているのを見逃さないで歩こうと思っています。

 

 

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