散歩をする 225 桜上水から北沢川緑道

玉川上水公園の近くに桜上水駅があります。1970年代に初めてその駅名を知った時に、「上水」が玉川上水だとはまだ知らなかったのですが、なんだか水辺に桜の並木がある美しい街があるに違いないと想像したのでした。

それから10数年ほどして、そこを通る荒玉水道を自転車で行き来するようになったのですが、どこにも桜も川もなくて拍子抜けしました。

 

地図で見ると、駅のそばから南東の方向へと暗渠と開渠が描かれています。

そこを辿ると、おそらく玉川上水からの分水だったのだろうと今は推測できます。ここを歩いてみようと思い立ちました。

 

桜上水駅の南側のすぐそばから暗渠があるようです。気づかないと見落としそうな小さな脇道ですが、両側にたくさん植物が植えられていてどなたかが丁寧に手入れしてくださっていることがわかる、ホッとするような道でした。

そこを歩くと、東京都立松原高校の敷地の間に暗渠が続いて、日大の校舎と百周年記念館の間に昔の水路と思われる場所が続いていて、なだらかな下り坂になっていました。

日大のグラウンドの西側にも、水路が一部描かれています。

グラウンドの反対側は少し高台で、大きなマンションが建っていました。少し坂を下ると、畑が残っています。30〜40年前の記憶でも、世田谷にはまだまだこうした畑がたくさんありました。

地図ではわからない微妙な高低差の間を玉川上水からの分水が流れ、そして農地を潤していたのでしょうか。

 

緩やかに下るとそこに八幡神社があり、立ち寄って見ました。「由来」が書かれていました。

 平安時代、万寿3年(1026)京都府八幡市に鎮座する石清水八幡宮より勧請し、創建された神社。

 なんと、わずか2ヶ月ほど前に訪ねた石清水神宮と関係があるようです。

千年も前のこのあたりはどんな様子だったのでしょう、そしてどうやって京都の神社とつながったのでしょうか。

 

*北沢川緑道を歩く*

 

八幡宮から南へと蛇行した道が続いていることが地図で気になっていたので、そこを歩いてみました。

道なりに進んでいくと弁財天があり、そこから遊歩道が始まっていました。

公団住宅の中に鬱蒼とした木が両側に植えられていて、花壇も整備されています。

 

以前、目黒川の上流部分が、北沢川緑道と烏山川緑道として整備されていることを知って、この北沢川緑道も途中まで歩いたことがあります。

ここにつながっているのですね。

 

北沢川の水源は松沢病院付近で、「これに北方を流れる玉川上水からの分水を引き込んでいた」とありますから。この弁財天あたりが合流点だったのでしょうか。

 

この烏山川・北沢川緑道は、ところどころ「人工のせせらぎ」がつくられていたり住宅街の中を静かに散策できる遊歩道です。今回の箇所は水の流れがない区間でしたが、よく手入れがされていて草木や花を楽しみながらのんびりと歩くことができました。

途中、立葵が咲き始めていました。梅雨が近づいてきたようです。

 

小田急豪徳寺駅まで歩いて、そこから電車に乗って帰りました。一車両に一人か二人といった静かな車内でした。

 

蛇行する道や暗渠をたどるだけで、その辺りの地形や水の流れ、そして歴史もつながってきてなかなか楽しい散歩になりました。

 

 

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