水のあれこれ 143 水のそばのどこに住むか

1か月以上前ですが、「水害リスク説明を8月から義務化 住宅購入・入居希望者に」というニュースがありました。

ちょうど、あの梅雨前線が九州から東北まで広い範囲に被害を残していった時期でした。

 国土交通省は17日、住宅の購入・入居希望者に大雨が降った際の水害リスクを説明することを、8月28日から不動産業者に義務付けると発表した。豪雨による大規模水害が頻発する中、居住者が逃げ遅れるのを防ぐ狙いがある。

赤羽一嘉国交相は17日の記者会見で「各地で大きな被害が頻発している。住民に水害リスクを把握してもらうことが大変重要だ」と述べた。

浸水想定範囲や避難場所が示された市町村のハザードマップで物件の所在地を説明するよう義務付ける。説明を怠った業者に対しては、悪質な場合は業務停止命令などの行政処分を行う。

(2020年7月17日、KYODO)

 

「市町村のハザードマップで物件の所在地を説明するよう義務付ける」

むしろ「いまだにハザードマップを確認していないで、どこに住むか決める人もいるのか」と驚きましたが、多くの人がリスクを認識しているのであれば、そもそも水辺の浸水しそうな地域に住宅を造るニーズも生まれないでしょうからね。

「このあたりなら雰囲気で選ぶ人がいるだろう」という需要に対応してきたのかもしれませんね。

 

ここ30年ほど、ゲリラ豪雨など雨の降り方が変化する中で、神田川善福寺川あるいは石神井川の住宅地での浸水のニュースが記憶に残るようになりました。

その頃から、自治体のハザードマップが配布されるようになりました。

 

すでにリスクの高い地域に住んでいた方はそのハザードマップをどう感じるのだろう、あるいはそういう地域は住宅地として敬遠されるようになるのかなと思っていましたが、調整池などの対策も進んだからでしょうか、むしろ川の遊歩道沿いに残っていた空き地にも、次々と住宅が建設されています。

 

最近、都内の水辺を散歩するようになって気づいたのですが、川のすぐそばに60年代から70年代頃に建てられたと思う公営住宅がけっこうあります。

今でこそ年季が入った集合住宅に見えますが、当時は、水洗トイレ・風呂付きの最新で最強の鉄筋コンクリート製だったのだろうと思います。

その公営住宅が建てられている場所は、川の対岸が少し高くなっているので、おそらく以前だったら遊水池的な場所だったのではないかと想像しています。

空き地か畑で、それまでの時代だったらとても住宅地としては使えないような場所に、60年代頃から集合住宅を建て始めたのではないかと。

まるでコンクリートの防水堤のような。

 

幼児の頃に自衛官の方に背負われて避難 したときにも、我が家は川のそばに建てられた最先端の真新しい官舎の上層階だったので、家の中は無事だったのでした。

 

あれから半世紀ほど過ぎて、都内の川は汚い場所ではなくなり、浸水への対策も進み、そばで暮らしたいという人が増えたのかもしれませんね。

 

 

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