数字のあれこれ 61 湧水量

幼稚園児のころに一旦、武蔵野台地を離れ、高校生まで過ごした地域は裏山に多数の沢が流れていて、あちこちに泉が湧き上がっている、そんな場所でした。

ですから水に関心があるのもその経験からだったと思っていたのですが、最近、幼児の頃に住んでいた武蔵野台地を歩くようになって、もしかしたらもっと前から湧き水が生活の中にあったのかもしれないと思い直しています。

 

半世紀過ぎて、雑木林や畑が減り、住宅に囲まれた場所にも、忽然と水が湧き出る場所が残っています。

大泉井頭公園のように、水たまりかと思うような場所から数十メートルも行くと、立派な水の流れになっているのです。

「東京湧水せせらぎ散歩」では、その白子川の源流の「湧水量」が多量と表示されていて、そういえば湧水量ってどうやって計測するのだろうと、もう一度本を読み直してみました。

 

「はじめに」の「湧水データの見方」に、「湧水量」の説明があります。

湧水量(湧出量)

1秒あたりの湧出量(l/s)で測る。都内の湧水は降雨や季節により変動が大きく、ここでは08年6〜10月取材時の視認による。

「視認」という方法もあるのですね。

 

本の最後の方に「湧水の水質調査とその表現」に、もう少し具体的に湧出量の説明がありました。

一般に湧出量は秒当たり何リットルで示す(l/s)。湧出量が少なければ、ストップウォッチを用いて所定の時間、直接ビニール袋やバケツに採水し、その量をメスシリンダーで測定して秒当たりに換算する。湧出量が多ければ、まず巻尺や折尺で水流の幅と水深を測り、流れに直角な水流(水路、川など)の断面積を算出する。次に浮子(ふし)を使って、それが5~6m(長距離ほどよい)流れる速さを測る。これを数回繰り返してその平均流速(m/分)を算出したら、その値に水流の断面積を掛けたものが流量(秒・分・時間・日当たりの量、㎥)である。

この本のデータも実際に測定したものが記載されているそうです。

湧出量については、99・04・06・08年に実測調査しているが、先行降雨、地表水、水道、下水道などの浸透や漏水などの量により、また、地下水の利用状況によっても大きく影響を受け、季節変動が激しいので、本書では08年6〜10月の目測調査による、多い、少ない、枯渇の定性的表現で示した。

 

なんだか圧倒されますね。

あちこちの湧き水が、こうした地道な観察と計測の繰り返しでデータが作られているのですから。

 

マップの航空写真で日本を眺めると国土の大部分が森林で、無数の尾根筋が見えます。

ここにはどれだけの沢や泉があって、その湧出量はどれくらいなのだろうと考えただけで、気が遠くなりました。

 

 

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