医療介入とは 105 新型コロナ感染と妊娠の記事

NHKのニュースに、日本産婦人科医会による全国調査の報告がありました。

自分の覚書のために記録しておこうと思います。

 

新型コロナに感染した妊婦 妊娠後期に症状重い傾向 

2020年9月17日、NHK NEWS WEB

 

産婦人科の医師で作る日本産婦人科医会がことし6月までに新型コロナウイルスに感染した妊婦について全国調査を行った結果、妊娠後期になると症状が重くなる割合が高くなっていたことが分かりました。専門家は「妊婦の重症化リスクが著しく高かったわけではないが、後期の妊婦は注意してほしい」と話しています。

 

この調査は、日本産婦人科医会が全国のおよそ2200の産科のクリニックや病院を対象に行い、およそ1500から回答がありました。

 

それによりますと、回答のあった医療機関でことし6月末までに新型コロナウイルスに感染した妊婦は72人でした。

 

このうち発熱などの症状があった58人について詳しく分析したところ、CT検査で肺炎などと診断されたのは、

▽妊娠28週までの初期や中期では39人中4人で10%だったのに対し、

▽29週以降の後期では19人中10人で53%と割合が高くなっていたということです。

また、呼吸困難などのため酸素投与が必要となった人も、

▽妊娠の中期までが3人で8%だったのに対し、

▽後期は7人で37%と、妊娠後期の方が重くなる傾向がありました。

 

感染した妊婦はほとんど後遺症も無く回復しましたが、海外から旅行に来てまもなく発症した1人が死亡したということです。

 

一方、生まれた赤ちゃんについては、感染したという報告はありませんでした。

調査を取りまとめた昭和大学医学部の関沢明彦教授は「妊婦の感染者は少なく、感染しないよう気をつけて生活している効果が出ていると思う。妊婦の重症かリスクが著しく高かったわけではないが、出産が近いと症状が重くなる傾向が分かったので、十分注意してほしい」と話していました。

 

妊娠した女性などの新型コロナへの注意点は

 

日本産婦人科感染症学会は、妊娠した女性や妊娠を希望する女性の新型コロナウイルスに対する注意点を学会のウエブサイトに掲載しています。

 

それによりますと、国内では妊婦が感染しても妊娠していない人と症状の経過などは変わらないとする一方で、肺炎になった場合は重症化することがあるとして注意を呼びかけています。

 

注意点をまとめた日本大学医学部の早川智教授は「妊娠後期の女性は退治の成長に伴って肺が圧迫されやすく、肺炎になると重症化しやすい可能性がある。今回の調査結果は当初の予想を裏付けるものだ。国内では重症化したケースは少なく、過剰に恐れる必要はないが、なるべく感染しないよう注意が必要だ」と指摘しました。

 

予防のポイントとしては「手洗いを徹底することのほか、在宅勤務をするなどして人混みを避けたり、家庭内も含めて症状がある場合は生活スペースを分けてほしい。公的機関などが出している正しい情報を頼りに感染予防してほしい」と話していました。

 

 

6月末までの調査ですから、7月ごろからの第二波ではどうなっているのかわかりませんが、72人の感染でそのうち肺炎など重症化した人は14人という数字は、案外少ないことに安堵しました。

もちろん、感染者を受け入れていた周産期センターでは、妊婦さんと胎児・新生児の二人分の感染対策を求められるので、人数の問題ではないのですが。

 

分娩施設には夜間・休日にも症状の問い合わせの電話がかかってきますが、発熱というと今まではインフルエンザか産褥乳腺炎かを電話での状況から判断して、乳腺炎なら来院してもらっていました。

ごくまれに劇症型A群連鎖球菌による感染があります。これは発症後数時間ぐらいで急変することもあるので、おそらく一生に一度あたるかというような確率かもしれません。発熱というと、状況によっては来院してもらってから周産期センターへ搬送の可能性も常に考えながら電話を受けていました。

 

今回、新型コロナウイルス感染症の全容がまったくつかめない2月の段階で、厚労省からのお願いが出されて、発熱者は帰国者・接触者相談センターへ誘導する方針のおかげで、勤務先でも発熱への対応の混乱を防ぐことができたと思っています。

また里帰り分娩が多い日本の特殊な状況で、里帰り分娩の受け入れ中止あるいは帰省後2週間の自宅待機など、早めに徹底されていたことも妊婦さんの感染拡大を抑えられた一つの理由ではないかという印象ですが、今後の報告をまた追っていこうと思います。

 

 

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