記録のあれこれ 83 「昭和天皇御植樹」の碑

高山線の車窓から沿線の森の中に、「昭和天皇御植樹」という細長い2メートルほどのものでしょうか、記念碑が目に入り、すぐにiPhoneにメモしました。

あっという間に通り過ぎたので、どれがその木なのかも確認できませんでした。

メモでは猪谷と八尾の間で見たようなので、富山県の森でした。

 

帰宅してから検索しました。

林野庁全国植樹祭の記録を見ると、富山県は1969(昭和44)年に砺波(となみ)市で植樹祭が行われているようですが、地図でみるとその記念碑とは離れています。

Wikipedia全国植樹祭に「昭和天皇のお手植え」がありました。

1947年11月、昭和天皇富山県へ戦後行幸を行った。その際、天皇林業に関心を示し、富山県細入村(現:富山市西笹津)の高山本線沿いの斜面でタテヤマスギの植樹を行った。それまで天皇による公式行事での植樹は、枯死した際に責任が関係者に及ぶことを危惧し忌避されていたが、「そんな時代でもないであろう」ということとなり、全国で初めて行われることとなった。これが契機となり全国植樹祭への出席、「お手植え」に結びついている。その後、1958年10月に開催された富山国体、1969年5月に開催された富山県に再び行幸した際には、高山本線で運行されたお召し列車の車窓から自ら植えたスギを眺めている。

この場所は、2019年現在も地域住民ら有志の手により管理が行われている。 

 

車窓ではあっという間に過ぎたので、居眠りをしたりちょっと下を向いたり、まばたきをしただけでも見ることができなかった記念碑を、偶然見ることができました。

一つの記念碑にもすごい歴史が留められているものですね。

そして、こうしてWikipediaに記録を残してくださることも、1本の木からその時代の雰囲気が読み取れます。

 

「枯死した際に責任が関係者に及ぶことを危惧し忌避」「そんな時代でもないであろう」

これもまた、驚異的に変化する時代の「すごい歴史」の記録ですね。

この十数年後に生まれた私にさえ、遠い昔に感じる話でした。

 

 

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