散歩をする 249 常磐線、2020年

昨年、常磐線の一部区間はまだ代行バスでしたが、今年、全線復旧しました。

 

タビリスというサイトに、今年1月の常磐線についてのニュースがありました。

東京〜仙台直通『ひたち』の時刻表。常磐線全線復旧で、3月14日運転開始

(2020年1月17日)

 

JRの2020年3月14日ダイヤ改正で、常磐線特急「ひたち」が1日3往復、東京都区内から仙台市内まで直通します。その時刻表が発表されました。

 

9年ぶり全線復旧

常磐線は、2011年3月11日に発生した東日本大震災と、福島第一原子力発電所が被災した影響で、福島県内の富岡〜浪江間で運休が続いています。

区間は、政府が立ち入りを原則として禁止している帰還困難区域を横切りますが、このうち、常磐線沿線の特定復興再生拠点区域について、2020年3月4日〜10日にかけて避難指示が解除されることが決まりました。

これを受け、JR東日本は、常磐線富岡〜浪江間について、3月14日のダイヤ改正に合わせて運行開始すると発表しました。2011年3月11日から約9年ぶりに、常磐線は全線復旧することになります。(以下、略)

 

ああ、そうでした。今年の1月ごろはまだ、3月に東京仙台直通の列車が運転再開されることを知って、早く私もあの富岡から原ノ町までの車窓の風景を見てみたいと思っていたのでした。

その後、想像もしていない新型コロナウイルスの感染拡大で、都内の移動でさえはばかられる状況になってしまいました。

 

半年遅れでしたが、それでもこの9年ぶりに全線復旧した常磐線の車窓の風景を見ることができました。

 

*ひたちに乗る*

 

仙台直通の「ひたち」の一番早い列車は、上野を8時に出発します。仙台まで4時間31分の、列車の旅です。

上野駅を出ると、隅田川、荒川、中川、江戸川と次々と見慣れた川を渡り、手賀沼利根川、小貝川、牛久沼、霞ヶ浦昔、海底だった地形を感じる風景が続きます。水戸の手前では水田が少なくなり、栗が実っている場所が増えました。そして水戸の手前からまた水田が広がり、これから収穫の時期のようです。

千波湖が見えて、水戸に到着しました。昨年台風19号で久慈川が氾濫して不通になった水郡線は、全線復旧するのは来年夏頃だそうです。

 

上野では乗車率は3割ぐらいだったひたちでしたが、水戸をすぎると次第に乗客が増えてきて、途中からいつの間にか8割ぐらい席が埋まっていました。

 

ここからは大きな川がない海岸線の風景です。昨年このあたりを通った時は、広い広い太平洋に目を取られていましたが、よく見ると、小さな川を利用して水田がけっこうあるのが印象に残りました。

 

水戸に到着した時は、正直なところ「あと3時間も列車の旅が続く」とほんのちょっと気が遠くなったのですが、また車窓の風景に引き込まれていきました。

あっという間に勿来を過ぎ、いわきに到着。浜通りの歴史はまだまだ勉強不足ですが、なこそと読むことを昨年知ったことを覚えていたので、よしとしましょうか。

 

いわきのあたりは、稲刈りはまだ先のような風景でした。ここからは海岸線を列車が走り、水田の向こうに海と堤防という風景があちこちで見られました。

 

*富岡から浪江まで*

 

いよいよ富岡駅です。

通過して、「あっ」と声が出そうになりました。昨年は駅のホームから青い太平洋がずっと見えていましたが、高い堤防ができて海の風景はなくなりました。

 

昨年ここから代行バスに乗った時には「絶対に窓を開けないでください」とともに、「風景の写真は構いませんが、人物がわかるようなことはお控えください」というアナウンスがありましたが、列車では何もアナウンスがありません。

途中、国道6号線の上を通ったのですが、昨年は「帰還困難地域」の表示やバリケードがあったのですが、通過した場所では無くなっていました。

 

浪江までの各駅には駅前に車や新しい自転車が見え、手入れがされた畑や水田が見えました。

ただ、やはり朽ちていく家が駅前にもありました。

また水田や大豆畑が見え、神社に参拝している方々の姿がありました。

 

国道6号線の方が海岸線に近いので、昨年バスに乗った時は福島第一原子力発電所の近くをしばらく通りましたが、常磐線では大野駅から双葉駅間で国道6号線にぐっと近くところから遠目に一瞬見えただけでした。

 事故直後の混乱大きな社会の混乱の後には人間関係まで変化したことなど、思い出されました。

忘れているわけではなく、あまりに理解できない状況をどうしたら正確に把握できるだろうかと、まだ試行錯誤している感じです。

 

この日、帰宅したらちょうど「東日本大震災原子力災害伝承館」が双葉町に開館されたニュースを知りました。

その近くをちょうど通過していたなんて、なんという偶然でしょうか。

 

「ひたち」はあっという間になつかしい相馬に近づきました。一面の稲穂が広がっています。

今年こそは水害がなく、無事に収穫できますようにと祈りました。

そして亘理が近づいてきました。急にはらこ飯の香りがしてきたような気がして、お腹がすき始めました。

 

阿武隈川を渡り、あっという間の4時間31分の列車の旅が終わりました。

今度は、各駅停車に乗って、ふらりと途中下車をして歩いてみたい。

何度も乗って見たくなる路線のひとつになりました。

 

 

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