正しさより正確性を 26 インシデント報告のシステムとは違うのではないか

ここ2週間ほど、ちょっと悶々としています。

最初は、新型コロナウイルスワクチン接種数が増えるに従って、「こんな間違いがあった」「こんな手違いがあった」というニュースが増え始めたことでした。

次は、大規模接種会場での予約システムに「こんな欠陥がある」というニュースで、その次は新幹線の運転士が席を離れたことに関するニュースです。

 

3つのニュースに関する違和感は、なぜインシデント報告(ミスがあったが事故に至らなかったもの)のレベルで公開されているのかという点です。

しかも謝罪会見がおこなわれたり、当該担当者の「処分」にまで言及されています。

 

一見、リスクマネージメントに関する報道のようで、1990年代から医療でも取り入れられたヒヤリハット報告とインシデントレポートとはもって非なるものではないか、そこが悶々としている理由です。

 

「失敗を記録する」で、「報告が積極的に行われるための5つの条件」を引用しました。

1.   懲戒処分に対する現実に可能な限りの保護

2.   極秘性あるいは匿名化

3.   報告を収集・分析する部門と、懲戒処分や制裁を行う部門の分離

4.   報告母体への迅速で、役立つ、わかりやすいフィードバック

5.   容易に報告できること 

 

 

新型コロナウイルスワクチン接種開始後、さまざまなニュースがあるのも実際には現場のインシデントレポートが機能しているからではないかと想像しています。

であればなおさら、なぜ、誰がそれを公開したのか。

中には場所まで特定できそうな内容もありました。

 

インシデントを認め、報告するようになった歴史もたかだか半世紀ほどですが、定着したのは失敗を次に生かすためのフィードバックがあるからに他ならないと思います。

 

ところがこの段階で公開されたり報道されてしまうと、懲罰感情を恐れる気持ちの方が強くなってしまうのではないか。

そんなところを心配しています。

 

ところで、報道関係者にはインシデントレポートってあるのでしょうか。

 

 

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