散歩をする 306 谷地川の遊歩道を歩く

日野駅から多摩川に並行して何本かの水路があり、それをたどっていくと途中で谷地川があります。

今回、計画の段階で、一本の水路がその谷地川と交差していることにも関心が湧いたのでした。

 

そしてその谷地川は、以前から散歩の計画ノートに書かれていました。

川の左岸側にところどころ蛇行した場所が緑色に描かれて、おそらく旧河道を遊歩道にしたのでしょう。いつか歩いてみたいと思っていました。

あの一世紀前までは利根川も荒川も河道が安定していなかったために放水路が造られた歴史を思い出させるような地図でした。

 

日野の美しい水路の記憶をたどり、途中からは谷地川を歩けるところまで歩いてみよう、というのが今回の散歩の計画でした。

 

*日野用水と谷地川が交差する*

 

散歩の途中で立ち寄ったよそう森公園で、私が記憶していた水路はこの日野一帯を潤してきた日野用水だとわかりました。

水源は多摩川です。

 

今でも轟々と水が流れているこの水路は途中、どうやって谷地川を超えているのでしょう。

あの玉川上水と残堀川のマジックのような仕掛けでしょうか。

 

谷地川が近づいてきました。

橋の左横に、幅1mぐらいでしょうか、コンクリート製の樋が架けられてその中に先ほどまで水路を通っていた水が流れていました。

まさに、川の上に川でした。

 

そしてこの川は、「やじ川」と読むことが表示されていました。「川」は「がわ」と読むのでしょうか。日本語は難しいですね。

 

*谷地川遊歩道を歩く*

 

橋を越えて150mほど歩いたところに、遊歩道の入口がありました。

谷地川の旧河道と思われる川が残っていて、さらにまたここでも日野用水が交差しています。

ただ、ここには特別の仕掛けもなさそうで、二つの流れが静かに混じり合ってそして別の方向へと別れて行くあの不思議な運河の流れのようです。

 

蛇行した遊歩道の周囲は草木がよく手入れされていて、散歩をしている人もいました。

旧河道と現在の谷地川との間の土地には、工場がありました。

 

その工場の横を歩くとじきに谷地川の本流で、両側に遊歩道が続いています。

右岸側は以前は崖だったのだろうと思われる場所が続き、ところどころ住宅地になっています。川には水草が生え、水鳥が遊び、周囲の森からはウグイスの鳴き声と、のどかです。

川の水は少ないのですが透き通っていて、ハヤでしょうか、たくさん泳いでいました。

両岸は川底から3mほどの高さがあるので、一旦、水量が増えると、あの右岸側にぶつかりながら多摩川までこの辺りを浸水させていたのだろうと想像しながら歩きました。

 

本流の遊歩道に沿って歩くと八高線の下をくぐり、さらに300mほど歩いたところで,また、旧河道を遊歩道として整備した場所がありました。

竹やぶと木々に囲まれ、涼しい空間にホッとしながら歩くと、右側は川の流れで崩された地形であることがわかるような崖が続いています。

蛇行した遊歩道を道なりに歩いていると、今度は左手が少し高くなり、そこに今でも地形のまま畑が残っています。

 

遊歩道の幅はそれほど広くないので、昔はここを大水が流れ、畑や家を流していたのでしょうか。

そんなことを考えていると、また本流の遊歩道に戻りました。

 

まっすぐな本流の遊歩道は味気ないかなと行く前は想像していたのですが、両岸の変化のある起伏や風景に飽きることがありません。

さらに300mほど歩くと、また旧河道が児童公園として整備されていました。

 

左手の高台に東海大学八王子病院の大きな建物が見え始めた頃、遠くで雷鳴が聞こえ始めました。

空を見ると、なんとなく積乱雲が大きくなっているようです。

あわてて東京アメッシュで確認すると、今のところ雷雲は描かれていないのですが、10分もすると変化するのがこの季節です。

 

今回は八王子バイパスの手前で散歩を中止して、バスに乗って八王子へと向かいました。

 

 

帰宅してWikipedia谷地川(東京都)を読んでみました。

八王子市上戸吹に水源を発し、やや南東に流れて行く。途中日野用水と立体交差する。一部流路は直線化され、屈曲した旧河道も一部、残っている。

また、日野台地の北限にもなっており、この川以北は加住丘陵となっている。

実際に歩いたあとにこの一文を読むと、写実的で無駄のない文章だなあと風景が蘇ってきたのでした。

 

 

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