水のあれこれ 189 線状降水帯

ふと思いついたことなどはそのつどiPhoneかMacのメモに書き留め、ときどき読み返しているのですが、その中に「6月17日 線状降水帯情報開始」と書き残したものを見つけました。

今までもニュースで線状降水帯という言葉は使われていたけれど、今年から新たな情報になるのかと気になって、その時にメモしたのでした。

 

私がこの言葉を初めて耳にしたのが、2015年の鬼怒川水害の時だったと記憶しています。

 

気象庁の「新用語解説」に「線状降水帯」がありました。2016年9月に書かれたもののようです。

2.    線状降水帯の定義 

 

現時点では、線状降水帯に厳密な定義は存在していない、線状降水帯という言葉は2014年8月の広島県での大雨以降、頻繁に使われるようになったようである。このこともあり、多くの人たちは、線状降水帯という言葉から、「線状の降水域が数時間に渡ってほぼ同じ場所に停滞することで、大雨をもたらすもの」を想像すると思われる

(強調は引用者による)

 まさに、そうイメージしていましたが、定義はなかったことにちょっと驚きました。

 

そして「おわりに」には以下のように書かれていました。

 最近では、マスコミが集中豪雨の原因を説明する際に線状降水帯という言葉を使用することが増えてきており、一般社会にも広く知れわたってきているように思われる。先に述べたように、大きな災害を引き起こす集中豪雨は線状降水帯によってもたらされることが多いことから、線状降水帯という用語の浸透は一般市民の防災意識の向上に繋がることが期待できる。 

 ただし、線状降水帯という言葉はあくまでも現象の一側面を表しているに過ぎず、集中豪雨の発生原因を十分に説明していることにはならない。研究者の立場としては、単にキーワードで現象を表すことに満足するのではなく、その発生・発達・衰弱のメカニズムをきちんと整理・理解し、科学的な知見を探求し続けることが重要である

 

 

今年6月に「線状降水帯情報」を出すようになった背景には、もう少しこの現象が解明されたのだろうかと気象庁のサイトを読んでみました。

線状降水帯とは

 

 次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される。線状に伸びるながさ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水を伴う雨域を線状降水帯と言います。

 毎年のように線状降水帯による顕著な大雨が発生し、数多くの甚大な災害が生じています。この線状降水帯による大雨が、災害発生の危険度の高まりにつながるものとして社会に浸透しつつあり、線状降水帯による大雨が発生している場合には、危機感を高めるためにそれを知らせてほしいという要望があります

 発生メカニズムに未解明な点も多く、今後も継続的な研究が不可欠です。

 

ああ、そういうことなのかと経緯を整理することができました。

まだわからないことが多い用語なのですが、ついつい災害を予防できるかのような安心感を求めてしまっていました。

 

不安に対して明快に言い切ってくれる言葉を求めやすいけれど、わからないことに耐えることが必要。

それを肝に銘じる必要があるのはどの分野でも同じですね。

 

 

 

「水のあれこれ」まとめはこちら

失敗とかリスクに関する記事のまとめはこちら