水の神様を訪ねる 47 多摩川と九頭龍神社

百草園駅北側の水路は水田の残る美しい風景でした。

百草園駅とその手前の聖蹟桜ヶ丘駅までの間にも、おそらく浅川から取水した用水路があちこちに地図に描かれています。

今までは「聖蹟桜ヶ丘」と聞くと、京王線とともに新しく開発された住宅地のイメージしかなかったのですが、俄然、歩いてみたくなりました。

 

地図を眺めていると、南側に「九頭龍公園」があり、その敷地を挟んで水路が描かれています。

「九頭龍」懐かしいな、なぜこの場所に九頭龍という名前がついたのだろうと知りたくなって、ここから散歩をスタートすることにしました。

 

懐かしいなと思ったのは2年前に九頭竜川を訪ねたからですが、記録しておきながらあちらは「竜」で、こちらは「龍」だということにこの記事を書きながら気づきました。ちなみに、埼玉県東松山市を流れる荒川水系の「九頭龍川」もあるようです。

 

*九頭龍公園と九頭龍神社*

 

聖蹟桜ヶ丘駅の南側へ出て、川崎街道の向こうに小さな水路を見つけました。あれが九頭龍公園へと流れる水路のようですが、柵に囲まれギリギリそばまで住宅が建っているので、水路沿いは歩けませんでした。

少し迂回して公園を目指すと、地図にはなかった神社が公園の横にありました。

 

「九頭龍神社」で、御神徳に「水難除け、五穀豊穣、商売繁盛、虫歯平癒」とあり、その由緒が書かれていました。

中世のある大洪水の折、川上から関戸大河原の地に九つの頭を持つ龍のようなものが流れ着き、それを御神体として奉斎したのが始まりと伝えられています。古くからの多摩川の洪水、氾濫の際にも当社が水没することはなかったことから、多摩川の水神として近郷の崇拝を集めています。

また当社は子供の虫歯を和らげる御神体があるとして崇拝され、祈願のお礼参りには山の萩を束ねて供えたと伝えられています。なお、龍に似た赤い兜をかぶった白蛇がしばしば境内に現れたとの言い伝えもあります。

*現社殿は、昭和50年代に聖蹟桜ヶ丘周辺地域の区画整理事業により、かつて鎮座地であった関戸二丁目大河原(現社殿より北に150m)から遷座したもので、正面鳥居(昭和5年建立)はその鎮座地より移設しました。

関戸熊野神社

 

期せずして、多摩川の水の神様と出会う散歩になりました。

 

「虫歯平癒」からむし歯の歴史を思い返しましたが、ほんと、虫歯の原因がわかったのもたかだか数十年で、それまでは祈るしかなかったのですからね。

 

私と入れ違いに、赤ちゃんを抱っこした若いお母さんが参拝されていました。

まだ歯が生える前の月齢に見えたけれど、何を祈っていらっしゃったのでしょう。

 

 

 

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