記録のあれこれ 105 「探し物はなんですか?見つけにくいものですか?」

6月に岡山から姫路まで歩いた後、当初は8月下旬で都内の緊急事態宣言は解除の予定でしたから、8月下旬から9月上旬に遠出の計画が一つありました。

結局は9月末まで延長になったので行けなかったのですが、9月30日の朝にすでに酔っ払って歩いている人を見ると、延長して正解だったと納得しています。

 

さて、その計画は来年のその時期まで延期になりました。

というのも植物を見に行くのが目的でしたから、来年の開花を待つ必要があります。

 

いつだったか、とある場所にツルボが一面に咲いている映像を見ました。

この風景を見たい!

ただそれだけの、大人の散歩です。

 

検索するとツルボの開花時期はおおむね全国で「8月から10月まで」のようですが、その年にその地域ではいつ咲き始めるかは季節のゆらぎがあるので博打のようなものですね。

泊まりがけで行くので、休みと開花の時期があうかどうかもわかりませんし、あまり開花情報のない花ですからその地域でいつから咲いているのかもわかりません。

「8月から10月まで」の開花時期の幅の広さにやきもきしながら、計画を立てるしかなさそうです。

 

*なぜ今まで気にしてこなかったのだろう*

 

ツルボに初めて気がついたのが十数年前の通勤路でした。

その後、両親の様子を見に実家を往復することが増えた時に、なんと高校生まで通学で通っていたあぜ道に咲いていました。

ナガミヒナゲシのように、比較的最近日本中に広がった外来種かと思ったら、昔からある救荒作物だったことにまた驚いたのでした。

 

両親が住んでいたその場所に行けば今も見ることができるかもしれませんが、更地にして地主さんに返したのでなんとなくためらいがあります。

 

ツルボのことを考えると、失ってみて初めて大事なことに気づいたような気持ちになるのです。

 

 

*予期しない場所で見つけた!*

 

川や水田、そして水路を散歩していますから、いつ頃からかこの時期にはツルボに出会わないかと期待しながら歩いています。

そんな時に、頭の中に井上陽水さんのこのフレーズだけがぐるぐると繰り返し流れてくるのです。

 

草むらがあると、それこそ目を皿のようにしてツルボを探しているのですが、こんなに水田は健在なのにあぜ道にツルボを見つけられないなんて。

 

ある日、バスでとあるところに向かう途中、車窓の向こうにツルボを見つけました。

9月2日のことでした。

目的地からは小雨の中、徒歩でその場所に引き返しました。

車窓で見たよりもさらに、広い敷地内に一面咲いています。

残念ながら公的な施設で勝手に入れないので、柵ごしに写真を撮り、しばらく眺めました。

きっと監視カメラに怪しい人として写っていたことでしょう。

これで、来年からは見たい時にツルボを見に行ける場所ができました。

 

ところで延期した計画の場所は、千数百年前からおそらくツルボが広がっていたのだろうと思われる史跡で、その近隣には水田があり用水路が敷かれ、稲穂が輝き始める場所でもあります。

「悠久の」という言葉がふさわしいその風景をぜひ見たい。

来年の休みの日と開花の時期が重なることを祈るしかありませんね。

 

 

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