行間を読む 129 「短い時間にしっかりと集中し、神経回路をフル回転させて泳ぐ」

一昨年までは、10月といえば、日本選手権(25m)やワールドカップの季節で、いつも桜の枯葉が香る辰巳国際水泳場へと通っていました。

競泳会場に行けなくなって、とうとう24ヶ月になってしまいました。

録画を忘れるどころか、カレンダーに予定を書きこむことも忘れてしまいます。

 

気がついたら今年の日本選手権(25m)が終わっていて、背泳ぎ50mで古賀淳也選手が23秒16で優勝されていました。

2年間のブランク後の復帰だけでもすごいことだと思いましたが、ご自身の短水路背泳ぎ50mのベスト記録は2016年の22秒81のようですが、その後も百分の一秒を再現することに挑戦していらっしゃるのですからね。

 

 

*競泳選手の「自分の泳ぎに集中する」という表現*

 

競泳大会を観戦し始めた2004年ごろはまだ、大学生や20代前半の選手がほとんどでしたから、「技術」というよりは体力任せに力一杯泳ぐとか、その時の闘志次第のような泳ぎが多かったような印象です。

20年近く経って、百分の一秒を再現しそして越えて行く息の長い選手が国内外ともに増えたように思います。

 

会場インタビューで、よく選手の方から「自分の泳ぎに集中して」という言葉が聞かれるのですが、わかるようでなかなか自分の言葉では置き換えられないわかりにくさがある言葉です。

 

最初の頃は、選手の間の流行のような表現なのかと思っていたのですが、私自身も目標を持って泳ぐようになって少し理解できた部分があります。

 

追い越そうと相手に挑む気持ちが出ている人をさらりとかわしながら、四肢や指先の動きを意識して抵抗の少ない泳ぎに集中することで、年齢とともに衰えている筋力には頼らずにスピードも維持できています。

私のような素人でさえ、自分の泳ぎに集中するとはこういうことかとちょっと見えてきました。

 

これも競泳会場で達人の練習を見ることができたからだと思います。

 

古賀選手の復帰直後のインタビューを読み返していたら、今日のテーマの言葉がありました。

ああ、これもまた「自分の泳ぎに集中する」ということですね。

 

「人の身体の資質は千差万別で、水に対する慣性や運動感覚もまた人それぞれ違う」(「速く美しく泳ぐ!4泳法の教科書」)ので、水の中の「技術の自由度」もまた幅が広いし、泳ぐということは本当に奥が深いですね。

 

今回、世界短水路選手権への代表になったのに、選手団の派遣そのものが中止になったようです。

次の大会は2022年3月の国際大会日本代表選手選考会のようで、来年夏の福岡での世界水泳に向けての選考会でしょうか。

今度こそ、観客席で観ることができることを楽しみにしています。

 

 

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