世界はひろいな 55 商工案内図

家にいる時や通勤途中で時間があると眺めている地図ですが、「完璧な地図はない」にしても、半世紀前に比べると本当に細部まで正確でしかも重層的に情報を網羅しているので、地図もまた驚異的に変化する時代なのかもしれませんね。

 

そんな時代の変化の中で、子どもの頃からあまり変わらない地図が街の中にあります。

商工案内図とか、住宅案内の地図です。

デザインもそれほど変わらなさそうですし、内容もお店や個人の住宅名などが書かれているのも同じですね。

 

地図が大好きな私ですが、この商工案内図は私の求めている情報とは異なるのであまり眺めたことはありませんでした。

先日の、九頭龍通りという名前を偶然、その地図から見つけたことで関心が出ました。

 

 

*商工案内図とは何か*

 

検索したらきっとすぐにその歴史や概念がわかるかと思ったのですが、案外とまとまったものを見つけられませんでした。

真っ先に出てきた「株式会社あいえりあ」のホームページに、こんな説明を見つけました。

商工案内図とは、この地域に始めて(*原文のまま)お越しになられた方々に、町の詳細をご紹介し、さらには地域の皆様に非常時の避難場所のご案内や緊急時の警察署・病院等を日々の掲載を通じて、地域の活性化をご利用いただくための地図情報です。

 

「商工案内図の見方」に、表示されている内容として「地域名」「建物内の会社名」「主要道路名」「住所名」「交差点名」が挙げられていました。

 

たしかに「九頭龍通り」を見つけた商工案内図を見直すと、ビルの地下から6階までを長細く描いて、各階の店舗名が記されています。

長細くひとつのビルを道路に沿って描いた分、そこにあるはずの他の建物は描かれていません。

あるいは主要な橋や道路名、公共機関が描かれていました。

 

こうした案内図を見ると時に東西南北とは違った方向で描かれていたり、ある建物がわかるように情報を入れると地形とは異なった図になったりしているので、私はかえって混乱することが多々あります。

 

なぜわかりにくい地図がずっとあるのだろうと不思議でしたが、この描き方の方がパッと目的地がわかる人や職種があるのかもしれませんね。

「地図の世界史 大図鑑」に、「19世紀は、特に西洋において主題図(特定のテーマを持った地図)の製作が盛んに行われた時代」(p.15)と書かれているのですが、もしかすると商工案内図も主題図のひとつでしょうか。

 

ほんとうの地図は、目的の数だけ、あるいは人の存在の数だけあるといえるでしょうか。

 

 

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