散歩をする 342 伊奈氏屋敷跡と見沼溜井の北端を歩く

蓮田駅から念願の美しい水田地帯と見沼用水のそばを歩き、瓦葺(かわらぶき)掛樋氷川神社を訪ねたあとの計画はふたつありました。

もし疲れたらそのまま沼南駅からニューシャトル線に乗って帰宅するか、まだもう少し歩けそうなら地図で見つけた伊奈氏屋敷跡を訪ねてみようというものです。

 

水田地帯の風景に元気付けられて、もう少し歩くことにしました。

 

地図では瓦葺掛樋跡に交差する綾瀬川の北西300mほどのところに、水色の遊水池らしき場所が描かれています。

まずそこを目指しました。氷川神社から見沼代用水西縁に向かって少し下がったところにある畑と果樹園の間を抜け、また少し上ると瓦葺ふれあい広場の向こうにその場所が見えました。その北側を川が流れているのですが、葦が高く茂っているような場所でした。

 

交通量の多い県道3号線(さいたま栗橋線)を100mほど歩いたところで県道323号線(上尾環状線)へと左折しましたが、住宅街の間でも交通量が多く、志の崎児童公園のところで逃げるように住宅街への路地に入りました。

綾瀬川へと緩やかに下ると畑が広がっていて、やれやれようやく静かな場所です。

ここをまっすぐ行けば伊奈屋敷跡に行けると思ったのですが、その先は畑の中の細い私道でした。

しかたなく、また緩やかな坂道を登って上尾環状線に戻り、大型車が行き交う道を300mほど歩いたところで左折して綾瀬川の方へと歩きました。

 

家が散在するところから下り坂になると、しばらくは民家もない草地やひっそりと作業場があるだけのような場所です。

本当にこの方向で大丈夫なのかとGPSで確認しながら歩いていると、湿地が広がり小さな林のあるところからまた民家が見え始め、「埼玉県指定史跡 伊奈屋敷跡」の大きな説明板がありました。

 

そこからは屋敷林や栗の果樹園、そして家や畑がある中に伊奈屋敷の史跡が散在していて、道案内の標識や説明板があちこちにありました。

その向こうに新幹線の高架橋が見えて、時々新幹線が通過して行きます。

時を超えた不思議な、それでいて静かななんとも落ち着いた街をしばらく歩きました。

 

散策路を出てニューシャトル丸山駅に向かいました。

以前から、大宮駅から新幹線の線路に沿って鉄道が通っていることが気になっていて、いつか乗って見たいと思っていました。埼玉新都市交通伊奈線というのですね。

 

丸山駅を出てすぐに、綾瀬川を挟んだ低地に広がる風景が見えました。

その時にはごく普通の「川のそばの低地」に見えた風景でしたが、こうして散歩を思い出しながらあれこれと確認しているうちに、氷川神社や県道あたりの上り下りの地形が見沼溜井の北西端に近い場所だったのだとわかりました。

 

期せずして見沼溜井の跡地付近も歩いていたようです。

 

ニューシャトルは、なんだか子どもの頃に「近未来」として想像したような車両でした。

そして並行して通っている高架橋を、時々新幹線が通過していきます。

ふと西の方向を見たら、薄曇りの中に虹が輪のように見えました。

日暈(ひがさ、にちうん)というのですね。

 

時を超え、宇宙を超えた、不思議な感覚の中、大宮駅に到着して散歩が終わりました。

 

 

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