事実とは何か 85 報道する必要がある「事実」とはなんだろう

中央分水界を歩き、石生駅からふたたび福知山線加古川線を乗り継いで、その日の宿泊地である姫路に向かいました。

 

翌朝、またいつもどおり真っ暗な中この地域の天気予報やニュースを見て、日が昇ってくる風景を待っていました。窓からは新幹線の線路も見えます。

ちなみにNHK神戸の天気予報では、和歌山北、南、神戸、潮岬、大阪、兵庫南、北、神戸、豊岡、京都南、北、京都、舞鶴、滋賀北、南、大津、彦根、奈良北、南、奈良、十津川の地域に分けて天気予報が伝えられていました。

すごい広範囲で詳細だなという印象でしたが、関東甲信越も東海地方まで含んだ天気予報のこともあるので、そんな感じでしょうか。

 

 

*何を伝えたい「ニュース」なのか*

 

すると、話題は移って海外のニュースになりました。

陣痛が始まった産婦さんが自転車で病院に向かって、45分後には出産したという話です。

「ああ、間に合ってよかった」とまるで仕事中の気分になりながら、そのニュースに違和感を感じました。

 

陣痛のきている産婦さん自身が自転車を漕ぎ、夫は自転車のサイドカーに荷物を乗せて産婦さんのあとを走っています。

そんな大変なときに、誰がこの映像をとろうと思ったのだろう。

荷物は後でもいいから、サイドカーに産婦さんを乗せて夫が自転車を漕げばいいのに。

それだけ早く進行するのはおそらく経産婦だと想像できますが、上の子たちはどうなったのだろう。

 

なんだか映像を残すことが確信的だなという印象です、言葉は悪いのですが。

 

国によっても地域によっても分娩施設への入院のタイミングもシステムも違うのですが、私が勤務している地域なら切迫した声で「お産になりそう」という電話が入れば、状況によっては救急車を依頼するようにお話ししています。

45分後に無事に生まれたのは結果論で、自転車を漕いでいる途中で急に強いいきみがきて、1~2回の陣痛で生まれてしまうこともあるのが経産婦さんの分娩ですし、時には新生児に蘇生が必要だったり、産婦さん自身も出血で危険な状況になることもあります。

 

ましてやこの新型コロナウイルス感染拡大で、入院時には今まで以上にスクリーニングの時間が必要ですから、経産婦さんでも少しでも余裕を持って入院してほしいものです。

 

映像サイトで見つけて、話題になりそうという判断でニュースにしたのでしょうか。

 

こういう映像から、またぞろ「医療に頼らないお産」とか「女性は産む力がある」とか思い込んでしまう人が出なければいいのですけれど。

時々、出産のリスクマネージメントが理解されていない報道があるのは、何が理由なのでしょうね。

 

 

 

「事実とは何か」まとめはこちら

新型コロナウイルス関連の記事のまとめはこちら