ツルボを探しに東へ西へ

立秋がくると、猛暑日が続く8月だというのにどことなく秋の日差を感じて、道ばたの草むらも秋の草へと変わり始めますね。

イネ科の草が存在を表し、花の少なかった季節からあの日本では珍しい鮮やかな濃いピンクのオシロイバナとか白や黄色やいろいろな花が咲き始めます。

 

そして猫じゃらしがうっすら黄色味をおび始める頃には、私の心はソワソワしてあの花が咲いていないか見逃すまいと、歩いていても車窓からも草むらをながめ続けています。

 

昨年はワクチンの接種が始まったものの、まだ9月末まで緊急事態宣言が延長されるような状況でした。

今年は感染者数こそすごい数ですが、なんとか昨年涙を飲んだ計画を実行できそうでした。

ところで延期した計画の場所は、千数百年前からおそらくツルボが広がっていたのだろうと思われる史跡で、その近隣には水田があり用水路が敷かれ、稲穂が輝き始める時期でもあります。

「悠久の」という言葉がふさわしいその風景をぜひ見たい。

来年の休みの日と開花の時期が重なることを祈るしかありません。

 

8月下旬に、その風景を見るために出かけました。

昨年は夏が短かったのに今年はまだまだ猛暑日が続いていますし、いつ頃開花するのか全く情報のない花です。

いちかばちかの賭けです。

 

結果、惨敗でした。

広大な草むらを炎天下の中探して見ましたし、その地域の他のツルボがありそうな場所も歩いて見ましたが、1本も見つけられません。

傷心のまま、帰宅したのでした。

 

1週間後、昨年都内で見つけた秘密の場所を訪ねて見ました。

昨年は幻想的なほど広がっていたのに、今年は全くその姿もありません。かろうじて、車窓から1本だけ見つけました。やはり今年は少し開花が遅いのでしょうか。

 

その1週間後、「ツルボが咲きました」という都内の別の場所に行きました。

広い公園内を歩き始めましたが、本当なのだろうかと思うほど草むらにはその姿がありません。あきらめかけたとき、公園のすみの方でその場所がありました。

群生。

この広大な敷地の他の場所になくて、なぜここだけ群生しているのでしょう。

 

帰りの駅までもビルと道路の隙間に草が生えている場所を凝視しながら歩いていたら、1本すくっと咲いている場所を見つけました。

群生したり、1本だけ咲いたり、不思議な植物です。

 

そしてさらにその1週間後に、都内でツルボが群生するという別の場所に行ってみました。

9月中旬なのに、すでに大半の花が咲き終わって茶色くなっていました。

 

来年こそはツルボが咲いているあの場所の風景を見たい。

心はすでにまた西へと向いていますが、その地域でその年に咲き始めるタイミングもわからないし2週間ほどで花のピークが終わるとなると、もし見ることができたら奇跡ですね。

 

 

 

 

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