9月29日「日中国交正常化50周年」のニュースに、「えっ?もう半世紀経ったのか」と昨日のことのようなずいぶんと昔のことのような感覚で混乱しました。
まあ私が小学生の頃ですけれど、田中角栄首相と中華人民共和国の周恩来首相の姿を連日テレビで見ていました。
30代の頃は10年ひとむかしがやっとで、100年に一度とか、50年に一度も理解が難しいものでした。
60代ぐらいになると「半世紀ひとむかし」の感覚になるのかもしれませんね。
*近づいたり、遠ざかったり*
「パンダはずる賢い目をしている。中共からきた動物だからな」と父が言ったのは、この時でした。
当時、中華人民共和国を中国とは呼ばずに中共と呼ぶ大人がいる世の中の雰囲気はなんとなくわかりました。子ども心に「お父さん、パンダに対してまでそれはないよ」と思ったのですが、当時の中華人民共和国は人海戦術と灰色の人民服の映像だけの国でした。
最近になって韓国の少女舞踊団や高麗人蔘茶とともに、記憶を行ったり来たりしていることがもう一つあります。
「父の書斎」ができたのは、パンダが日本に来てから数年後、退職金を前借りして念願の一戸建てを建てた時でした。
*半世紀ひとむかし*
「中共の動物だからな」と言ってから数年後に「勝共連合」の本があったのは、もしかしたらその流れに疑問を持った時期だったのではないか、だから「イデオロギーにはまるな」と言い、「日本人にはキリスト教は理解できない」と似ても似つかぬ団体の本を私に読ませようとしたのではないか。
最初は父も共産主義への警戒から近づいたものの、なんだかおかしいと感じて遠ざかったのではないか。
8月10日の統一教会側からの「反共で利害が一致している」という発言を聞いて、そんな気がしてきました。
9月下旬、予約しておいた「自民党の統一教会汚染 追跡3000日」が届きました。
4年前にもう一つの50周年があったことを知りました。
「第6章 50周年大会の勝共連合、教団関連組織の工作」
2018年10月25日にその大会が開かれ、国会議員も多数出席したようです。
だからみなさん、目が泳いでいたのでしょうか。
米CIAの後ろ盾の元で「北朝鮮の共産主義に打ち勝って統一=勝共統一」をスローガンに反共活動組織を必要としていた韓国の朴正煕政権(1961~79)の庇護を受けるため、統一教会の教祖・文鮮明は、便宜的に反共産主義を掲げて朴大統領に取り入った。
文教祖は67年に山梨県の本栖湖畔で行った戦後右翼の大物らとの日韓反共首脳会談を契機に翌年68年1月、韓国で国際勝共連合を創設、日本でも同年4月、岸信介元総理大臣の後ろ盾を得て国際勝共連合を創設するに至る。
(p.135)
私の知りたかった父の本棚にあった本の時代背景が書かれていました。
父はまさにその創設期の時代を共にし、深入りせずに離れていったのかもしれません。
そして父の気持ちひとつで私もどちら側になっていたかわからないので、なんだか自分のことのように追っています。
同じように、この団体に近づいて引き返した失敗談を持つ人はたくさんいるのではないでしょうか。
信仰やイデオロギーは自由ですが、そのお金の集め方は許される方法ではないですから。
「丁寧な説明」とは、こういう歴史を遡って説明することですね。
良いこともした政治家の皆さんが身を滅ぼすことのないように、国民も気をつける必要がありますからね。
今回は政治家のみなさんにとっては重大インシデントを超えた重大事故レベルの話ではないかと思うのですが、つじつまの合わない話でうやむやにする方法は半世紀前とあまり変わらないのでしょうか。
社会の方がひと足先に、裸の王様とその予備軍を生み出さないように変化しているのかもしれませんね。
*追記*
「裸の王様」については、2014年にいくつか記事を書きました。
「つじつまのあれこれ」まとめはこちら。
失敗やリスクについての記事のまとめはこちら。
あの日(2022年7月8日)から考えたことのまとめはこちら。