散歩をする 392 古墳を訪ねながら三輪へ

里山保存地の休憩所はもうこのまま一日過ごしていたいと思うような晩秋の山と水田の風景でしたが、今日はまだまだ歩く予定があります。

 

山沿いの蛇行した道を歩くと辻に大きな石碑があり、昭和9年に建てられた石碑のようで「道路暗渠記念碑」とありました。成願寺バス停を降りたところにあった暗渠とつながっているようです。暗渠に近づくと「吉野川分水、大和平野土地改良区」と表示されていました。

あちこちから水音が聞こえてきます。この水が、このあたりの水田を潤しているのでしょうか。

 

一旦、国道169号線へ出て、西側の黒塚古墳古墳を目指しました。野焼きをしている田んぼから良い香りが漂っていました。

GPSを頼りに歩くと住宅地に囲まれた公園のような場所に出て、池の中に黒塚古墳がありました。天理市が管理している国史跡で、古墳時代前期という説明がありました。

そばにおしゃれな建物の資料館があったのですが、残念ながら休館日でした。

 

住宅の中の小学校のそばを歩いて国道169号線に出て、今度はまた山側にある崇神(すじん)天皇陵を訪ねました。先ほどの黒塚古墳とは雰囲気が違い、後ろの山と古墳の森が一体になっていてふと通りすぎそうになる質素さです。

一段高いところに周濠があり、階段を登るとそこからは立ち入り禁止で、周濠の水面が少し見えました。宮内庁管理になっていました。

砂利道を入り口へと戻ると、参拝の人とすれ違いました。

 

交通量の多い国道169号沿いに南へと歩くと、途中、「櫛山古墳」「天理山古墳」への行き先表示が出ていますが、またいつかの機会にということで数百メートル南にある景行(けいこう)天皇陵へと先を急ぎました。

こちらの古墳も宮内庁管理の古墳で、少し高い所に周濠に囲まれた古墳が静かにありました。先ほどの砂利で囲まれた崇神天皇陵と違うのは、その南側に水田があり、地図を見ると周濠の水が現在も用水路になっているように見えます。

 

今まで古墳というのはその時代の天皇の権力の象徴だけかのように捉えていたのですが、実際に歩くとイメージが違うものですね。

 

*三輪大神神社へ*

 

国道169号線沿いに歩くと、西側の奈良盆地が低く見下ろすように見えます。南側の大和三山からぐるりと山並みが見えて、大和川が流れる生駒山葛城山のあたりも見えました。だいぶ奈良の地形を覚えました。

 

畦道や古墳を訪ね歩いているとついつい疲れを忘れてしまい、無謀な散歩になりそうです。

万葉まほろば線の西側にある箸墓古墳も訪ねてみたかったのですが、このまま山沿いに三輪へ向かった方が時間的にも体力的にも良さそうです。

 

また東側の集落を結ぶ小さな道へと入り歩き始めました。

水田をつなぐ水路に、ところどころ暗渠が見えます。先ほどの吉野川分水のようです。

 

水田を抜けて住宅地に入るとそうめん工場があちこちにあり、三輪へ入ったようです。

黒みがかった濃い灰色の瓦屋根の古い街並みは落ち着いていて、大きな鳥居が遠くからも見えます。

白っぽい土とその古い街並みと周囲の水田地帯が祖父母の倉敷の街に似ていて、初めて歩くとは思えないような懐かしさです。

 

住宅のそばに大きな空き地がありました。草むらの真ん中に土が積まれたような高い場所があります。

説明板のようなものがあるので近づくと、茅原大墓(ちはらおおはか)古墳でした。

隣は普通の住宅で、標識がなければ見過ごす所でした。こちら側からは見えなかったのですが、西側には住宅に囲まれた周濠が水を湛えているようです。

 

木の壁が美しい茅原の街並みを歩いて、また水田地帯を歩くと三輪の大神神社が見えてきました。

不思議だったのは、晩秋ですからすっかり稲刈りが終わったはずなのに、このあたりの地域では全く稲刈りをしないまま稲穂が重く残っている水田がところどころありました。

 

ここで1万歩を超えて少し疲れてきましたが、せっかく来たので大神神社の北側にある神社と水路を訪ねてみました。

この辺りもまた山辺の道のようです。

美しい石積みの水路がまた現れました。

奥まったところにある久延彦(くえびこ)神社を訪ねましたが、見上げるような石段はこれまで訪ねた中でも最大級だったので途中で引き返してきました。

 

いよいよ大神(おおがみ)神社の参道へ向かうと、平日というのにたくさんの参拝の方がいました。11月初旬だったので七五三の可愛らしい着物姿の子どもたちもいました。

 

Wikipediaの大神神社の「三輪山(神体山)と大鳥居」の写真を見て、初めてなぜ大鳥居が神社よりかなり離れた場所にあるのかがわかったような気がしました。

三輪山へ向かう壮大な参道だったのですね。

 

古墳をつなぐ道を歩いた風景をいろいろと思い出すたびに、それは荘厳な建物とかではなく畦道と水田と水路と山々なのですが、なんだか鳥肌が立つような感慨が蘇ってくるのでした、

 

 

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