散歩のブログになるはずが、時々私がブログを始めた原点に揺り戻されることが起こります。
2000年代の「産科崩壊」と呼ばれる時代に、医師のいない場所での分娩は危険だということを伝えていくのがこれからの助産師の役割だと思うようになり、2012年からブログを始めました。
「産科崩壊」から四半世紀、今ではさらに複数の医師が関われる体制や新生児科の先生もいつでも対応できるくらいの安全性と確実性も求められる時代になりました。
その間にも今までまだ未知の世界が多かった胎児や新生児、妊娠・分娩時の異常もどんどんと明らかになって、対応すべきことが増えています。しかも、新幹線の安全な運行のための15秒のような正確性も求められる時代です。
1970年代だとまだ小児科の医師にとっても胎児はブラックボックス。性別どころか生きているか死んでいるかぐらいしかわからなかったことを考えると、医療の驚異的な変化ですね。
*自分の信念を貫きたい人が残り続ける*
さて、その私たちの役割が終わった、それは助産師の役割が「医師のいないところで『正常なお産』を介助する時代が終わった」 ということではなくむしろ医療機関で全ての出産に関われるようになったということなのですが、気持ちを変えられない人たちがいまもいることを久しぶりに感じました。
夫と長男にそばで見守られながら、畳の布団の上でフリースタイル分娩を経験。助産院での出産レポ【たまひよ 出産体験談】
(途中略)
助産師2名のみの介助。
医療行為切開、吸引、等は無し。緊急時は提携している病院へ搬送されることに事前に同意しました。
日本で行われるお産のうち助産院を選ぶ妊婦は1%らしいです。
【感想】
健診の時から完全予約制で待ち時間0。
毎回助産院の院長先生が整体を行なってくれて悩みを聴いてくれて、信頼関係ができて安心感のあるストレスが無いお産ができました。
(強調は引用者による)
10年ぐらい前の記事のリバイバルかと思ったら、2024年5月31日付でした。
効果を検証するシステムのない「整体」は取り入れるのに、まるで医療行為は不要かのように妊婦さんに伝える助産師がまだいるのでしょうか。
「正常なお産は助産師の手で」「ほとんどのお産は正常に終わる」「女性には産む力がある。赤ちゃんには生まれる力がある」といったファンタジーというかプロパガンダは、いったん信じると人の心をかたくなにさせますね。
*さらりと書かれている「GBS点滴」*
10年前の話かと思いながら読んでいたのですが、途中、さらりと「GBS点滴」とだけ書かれていたことで、現在の話だとわかりました。
というのも、2014年ごろはB群連鎖球菌(GBS)陽性の妊婦さんに対する抗生剤の点滴はすでに標準医療となっていたが、「正常分娩」からは逸脱するので助産院では出産できませんでした。
それで「GBSに効くレメディ」なんてホメオパシーを与えている助産院もあったようです。
2015年になると突如として「助産師の役割拡大」の要望にこの点滴も含められたのでした。
医療行為はしないお産が助産院のうりだったはずのに、点滴や会陰切開・縫合といった医療行為は助産師に認めよというつじつまのあわない変化でした。
こうして保険適用の医療行為が助産院でされるようになり、さらに「正常分娩を保険適用の対象に」という提言までするようになりました。
ことほど左様に、助産師の世界の「正常分娩」は時代によっていかようにも変わるようです。
そういえば最近、東京都助産師会から新たに分娩を取り扱う助産所を開業する人のための相談窓口ができたというお知らせがありました。
周産期センターにアクセスの良い東京だからそれができるのかもしれませんが。
昭和初期の一部の産婆(助産婦)の悲願、どこかでなんだか息を吹き返すような動きがあるような気がしてきました。
そしてそれを利用する動きはなんなのだろう。
「助産師だけでお産を扱うということ」まとめは「助産師の歴史」のまとめにあります。