北欧調のカラフルな家が見えたあとはしばらくトンネルや山あいの風景が続きますが、ここから何かランドマークになる風景がないかいつも真剣に車窓を眺めているのですが、あっという間に過ぎることもあってなかなか覚えられません。
新幹線の線路沿いを歩いてみようと思いついてからこの地域の地図をあらためて眺めてみると、水田地帯がありため池があってそこに神社がありました。
水の神様に違いありません。
*新幹線を見ながら歩く*
実際に歩いてみると、起伏の激しい丘陵地域を開墾し生活する大変さが伝わってくる道の歴史の記録が残る地域が切り通しの上にあることを知りました。
しばらく坂道を下りてまた上ると、風通しの良い場所に出ました。
新幹線のトンネルの出口です。その上に立つと真っ直ぐに西へと伸びる線路がみえ、早速上りの新幹線が静かに通過してトンネルに吸い込まれていきました。しばらく新幹線を待ちましたが、こんな時には通過しないものです。
あきらめて線路の北側に出て県道63号線沿いに歩き始めました。鶯が鳴き、ヒメジョオンが群生してのどかな春の道です。民家や畑には、パンジーや名前を知らない園芸品種の花が色とりどりで美しい道でした。
ところで子どもの頃から身近にあるヒメジョオンは、いつの間にか要注意外来生物とか日本の侵略的外来種ワースト100になっているようです。花を愛でられるだけではない時代になってしまいました。
道なりに歩いていると大磯町に入り、新幹線の線路との間に水田や畑が増え、「酪農牛乳」の大きな紙パックが看板になって残っていました。かつては酪農もされていたのでしょうか。
その向こうを新幹線が通過していきました。次回は車窓からこの看板が見えそうです。
時々、上下の新幹線が通過していく中をのんびりと歩きました。
この丘陵の向こうには相模湾が広がっているのですが、海の気配は感じられないのも不思議ですね。
*生沢の東の池へ*
大きなお寺のあたりで県道はぐいっと新幹線の線路に近づき、再び離れて大きく曲がったあたりに池が見えてきました。
地図では池の北側から池の中に神社への参道が描かれているとおり、太鼓橋を渡ると赤い鳥居とお社が池の中にありました。
周囲は水田で、その数十メートル先を新幹線が通っていて今までこの池とお社に気づかなかったのが不思議なくらいです。
東の池
江戸時代に、付近5町歩余(約50,000㎡)の農業用水として当時の皆川氏が掘削し、農業振興に大いなる貢献をしたと伝えられている。池の広さは約四反歩(約40,000㎡)で、その頃の用水池築造としては、大変卓越したものであったといわれている。
「東の池」という名前だそうです。何に対して「東」なのでしょう。そして江戸時代のどのあたりに造られたのでしょう。
厳島神社(弁天社)
この池の島に鎮座する神社が厳島神社である。御祭神は多岐都比売命で、御神体は木造の蛇である。御例祭は従来4月の初巳の日とされていたが、戦後は8月13日に執り行われている。
興味深いのは、説明板に英文も添えられていたことでした。
池の向こうをまた新幹線が通過していきました。美しい風景ですね。
蓮の茎が池一面に残っていますから、夏はまた美しい水面になることでしょう。
*月京から二宮駅へ*
県道63号線はこの先で南へと曲がり、交差した新幹線はすぐにトンネルへと入るようです。
計画では月京地区から新幹線沿いに富士見ヶ丘まで歩き、そこから県道71号線沿いに二宮駅まであるくというものでしたが、わずかの区間でもアップダウンが多く疲れました。
池を見たらもう満足感で計画の半分はあきらめました。
時々後ろを振り返り、新幹線がトンネルから出てきたり吸い込まれていくのを名残惜しく眺めながら、線路から離れていきました。
地図で気になっていた「月京」はどんなところなのか、その由来はなんなのだろう。
月京バス停まで歩いてそこからバスに乗ることにしましょう。
北から流れている水路のような川に「月京橋」「やとがわ」と表示がありました。
「やとがわ」は「谷戸川」ですね。
「月京」はなんと読むのでしょう。「げっきょう」でしょうか。
電柱に答えがありました。「がっきょう」だそうです。
かつては水田地帯だったと思われるところが住宅地になり、公園もあります。
どんな歴史がある名前と街なのでしょうか。帰宅してから検索してみたのですが、見つかりませんでした。
13000歩ほどの散歩でしたが、足はがくがくです。
バスに乗り、国道1号線へ入ると東海道の面影が残る松やどっしりとした黒い瓦屋根とゆったりした家並みが見えました。
二宮駅に到着すると、駅への階段のそばには活気のある八百屋さんがありました。
次回、新幹線で通過する時にはあの池とお社を見逃さないようにしましょう。そして歩いた場所の雰囲気や歴史を思い出すことでしょう。
「水の神様を訪ねる」まとめはこちら。
新幹線の車窓から見えた場所を歩いた記録はこちら。