いつの間にかまた減税やマイナ保険証見直しの意見が滑っと忘れ去られて、「103万円」の話になってしまいました。
まあ、いつものことですけれどね。
そしてマイナ保険証の話なのに、厚生労働大臣ではなくデジタル相の発言がニュースにありました。
えっ?今になって新型コロナのあのマスク不足と関係づけた話をするのかと驚きました。
あれは「あるところにはある」のに価格が釣り上げられていくことを規制できなかった失政だと感じていましたし、「国民の不満をこれで抑えられる」と感染予防対策の基本とはズレた布のマスク2枚を多額の税金をかけて配布したことは忘れらません。
*「迫るのではなく共に進める」台湾とは真逆の日本のデジタル化*
「当時の日本ではICチップの入ったマイナンバーカードの所持率は十数%だった」からマスク配給を管理できなかった?
1995に始まった台湾の健康保険証は、「普遍性と平等性の確立」という理念と、その背景にある台湾の民主化への強い動機があるからであり、反対に日本は六十数年かけて築いた全国民が安心してかかれる医療保険のシステムを「デジタル化」を口実に国民の管理強化へと向けているのではないかと思いますね。
他の国の政府による不当逮捕や拷問など多くの人が血を流し命をかけた自由と民主化のための闘いの歴史を、選挙のために「自由」と「民主」を掲げた人たちには到底理解できないのでしょう。
マイナ普及なければ「話にならない」 行政機能強靭化に必須と強調 平将明デジタル相
(2024年11月28日、産経新聞)
平将明デジタル相は29日までに、産経新聞などの取材に応じ、12月2日の「マイナ保険証」への移行を予定通り進める意向を示す一方、感染症の流行時や震災発生時の行政対応に必要だとして、マイナンバーカードのさらなる普及に意欲を示した。
新型コロナウイルスの感染が世界で拡大した際、台湾でオードリー・タン(唐鳳)氏という天才大臣が速やかなマスク入手を手助けして話題になった。マスクがどの薬局で手に入るか、リアルタイムでスマートフォンで分かる地図アプリを開発した。
だが、タン氏が日本のデジタル担当大臣だったとしても同じことはできなかった。台湾の健康保険証にはICチップが入っており、それを使ってマスク配給を管理した。一方、当時の日本ではICチップの入ったマイナンバーカードの所持率は十数%だった。
その時、私はマイナカードが普及していないことには話にならない、という強い思いを持った。パンデミック(世界的大流行)はいつ来ても不思議ではないし、自然災害も各地で起きている。首都直下地震や南海トラフ地震が想定される中、行政機能を強靭化するためにもデジタル化は必須だ。
マイナカードに保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」への移行を予定通り、しっかり進めていく必要がある。40兆円に上る医療費全体を適正化する必要もあり、(得られる)データから新たな価値も生まれてくる。
マイナカードを持っていない人には「資格確認書」を配布して当面利用できるようにするなど、一通りはカバーできている。今までは登録を促すキャンペーンをしていたが、不安を持つ人に寄り添った広報にシフトしていきたい。
利用シーンの拡大が普及のカギを握る。マイナカードに安全にポイントなどをチャージして買い物ができるようにすることも(技術的には)可能だ。地方創生や景気対策に生かすなど、さまざまな設計ができるので、(それが進めば)さらに利用シーンが増えてくると思う。
(強調は引用者による)
「行政機能強靭」ってなんだろう。
なんだかまた新たに手続きをしなければならない面倒なことが増えそうですね。
保険証の次は、こんなにお得ですよといいながら、災害時にはマイナンバーカードがなければ困りますよとまた外堀を固められていく策でしょうか。
物騒な世の中だから「常時身分証明書を携行せよ」、みたいな方向にならないといいですけれどね。
あな恐ろしや。
*デジタル化の普遍的な方向*
デジタルはほかに選択肢がなければ、権威主義的なものになってしまうからです。デジタルによって国民がリスクを減らしたり、時間を節約したりできるよう支援するはずだったのが、デジタル技術への適応を強制してしまっては、権威主義になってしまい本末転倒です。台湾でわれわれ政府側はつねに、強制ではなく支援するほうにフォーカスしたいと考えています。
(「デジタル化『進まぬ日本』『成功する台湾』決定的差 上から強制するのではなく「選択肢を与える」、東洋経済ONLINE、2022年6月17日)
残念ながらタン氏も特殊詐欺やフェイクニュースへの対応が不十分といった現実社会の闇が理由で退任されたようですが、この一文はきっと後世でも通用するだろうなと思いました。
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