米のあれこれ 103 水田にピンク色の塊

伊予から讃岐へただひたすら水路と田んぼを見て回った7月の散歩でしたが、それぞれの地域の水の歴史や風景を知ることができました。

 

その中で、今回初めて見たものがあります。

水路や稲にピンク色の塊がある田んぼでした。

これがあのジャンボタニシの卵だとすぐにわかりました。

昨年、丸亀市内の田んぼで初めてジャンボタニシを見ました。

その時に周囲には卵はありませんでしたが、検索して鮮やかなピンク色の塊で駆除するのが大変であることを知りました。

 

ピンク色の塊がびっしりとある田んぼからまったくない田んぼまで一様ではありませんでしたが、子どもの頃から見慣れている田んぼでは見たことがないその姿と生態や人への影響を知るとゾワゾワしますね。

 

 

 

*農業にもリスクマネージメントでは対応できない魑魅魍魎が*

 

 

数年前から全国津々浦々の美しい水田を訪ね歩いているのですが、四国に来て初めてジャンボタニシを見ました。

 

まだ四国などごく限られた地域だけかと思ったら、農林水産省の「スクリミンゴガイ(ジャンボタニシ)の被害防止対策について」(令和6年4月16日更新)を読むと、「令和4年には関東以西の35府県で発生が確認されています」とありました。

 

スクリミンゴガイ(ジャンボタニシ)とは

 

 南米原産の湛水に生息する巻き貝の一種で、生育初期の稲やレンコン等を加害する。

1981年、台湾から食用目的で輸入されたが、後に野生化した。

関東以西で発生が確認されており、令和4年には35府県で発生を確認。

【学名】

 Pomacea canakiculata (Lamarck)

【加害植物】

 稲、レンコン等の水田作物、雑草等

【発生生態及び被害】

1. 田植え後、約3週間までの柔らかく小さな苗を好んで食害し、特に稚苗を移植した場合に被害が大きくなる。

2. 繁殖力が高く、年間産卵数は3,000個以上。卵塊は約200~300個程度の卵からなり、濃いピンク色で水上の植物体や水路の外壁に産み付ける。孵化までの期間は、25℃で約2週間。

3. 夏季に生まれた貝が秋までに殻高1~3cmになり、そのまま土中で越冬する。越冬個体は、翌年春に水田への入水と共に活動を再開する。

4. 乾燥に強く、水がなくても半年以上生存が可能。一方、耐寒性は高くなく、-3℃では多くの個体が死に至る。

 

1981年ごろはタンパク質が足りない時代からすでに飽食の時代へと変わっていた時期だったので、物珍しさからの輸入だったのでしょうか。

 

その後、「自然な」への傾倒が社会のあちこちに見られた時期に息を吹き返したのかもしれないと想像したのですが、どんな経緯があったのでしょう。

 

社会が積み重ねてきた合理性や専門性を軽んじて、「挑ませる」ものには要注意ですね。

 

そしてそれは「Don't do it(行うな)」ということだったと、思い込みから目が覚めて常識に戻るまで30年ぐらいかかるのかもしれませんね。

そういう沼に落ちた人は自分が広めたことで何か事故があっても、根本的な解決を考えたりそういう考え方が広がったことは顧みず責任の主体を消してしまうので、またしばらくすると同じような「目覚めた人」が伝道者になって歴史が繰り返されていく。

 

どの世界にもリスクマネージメントが通用しない闇があるのだと、ピンク色の卵塊を眺めたのでした。

 

 

 

 

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