なんだかまたショックなニュースが。
JR、往復乗車券と601km以上の往復割引券終了
(Impress Watch、2024年12月2日)
JR各社は、「往復乗車券」と「連続乗車券」の発売を2026年3月に終了する。JR各線と連絡会社線とにまたがる連絡乗車券も含む。発売終了後、有効期間満了までは利用可能。
往復乗車券の発売終了に伴い、片道601km以上を往復する場合に、往路と復路がそれぞれ1割引となる「往復割引」も取り扱いを終了する。また、学生割引などの割引証や一部の特別企画商品(ジパング倶楽部等)も、今後取扱いが変更となる。
終了の理由として、交通系ICカード等の全国的な普及や、乗車の都度インターネットで予約できるサービスの利用が増え、該当乗車券の発売枚数が減少していることを挙げている。
今後、往路又は連続の行程での利用については、2枚の片道乗車券を購入することとなる。指定席発売機では、現在とほぼ同じ操作で帰りの切符を購入できるよう検討している。
たぶん、数年前にこの記事を読んだとしたら、ちんぷんかんぷんだったと思います。
2018年に久しぶりに岡山まで新幹線で往復した時は券売機で片道ずつの切符を購入し、ICカードであちこちをみてまわりましたから、まさにこの記事の通り「便利になった」ことを痛感していました。
往復割引も知りませんでした。
*しだいに鉄道の旅の楽しさにハマった*
この遠出がきっかけとなり、地図から見つけた場所を訪ねてみたくなり2018年年末に房総半島をぐるりと回ったのですが、これもICカードだけで回ることができました。
ほんと、便利な世の中になったと思いました。
房総半島を回ると今度はぜひ紀伊半島を回ってみたいと思い、2019年2月に木曽三川を訪ね、紀伊半島を回る計画を立てました。
この時に久しぶりに「みどりの窓口」で特急券と乗車券を購入しました。
土地勘もないし初めて乗る区間を時刻表だけで乗り継ぐのは不安でしたから、みどりの窓口の方がサクサクと発券してくださることに感動していました。
そして「お気をつけていってらっしゃい」と最後に声をかけてくださったことにも感動し、なんだかみどりの窓口の方と共同作業で作り上げた旅の気持ちになりました。
この時には事前に計算していたより少し安いような気がしたのですが、「割引」があったかどうかは全く気にしていませんでした。
連続乗車券にしておけば、一枚の切符でふらりと無人駅でも途中下車ができる。
そのことを知っただけで、全国を訪ねる夢が広がりました。
*みどりの窓口があれば、全国津々浦々の田んぼを見に行ける*
そこから半年ほどで、八郎潟から新潟、分水、諏訪湖と天竜川そして北上川とみどりの窓口にお世話になり、やはり事前に計算していたよりも安いことに気がついて長距離逓減制とさらに一筆書き乗車券があることを知ったのでした。
これで地図を眺めては、全国の田んぼや川や用水路を見に行く沼にハマりました。
JR以外の鉄道の選択があってもあるいは少し遠回りになってもJRを使うという、まあJRの囲い込みに乗せられたとでもいうのでしょうか。
翌年には未曾有の感染症による行動制限という人生で初めて経験する時代に突入し、いつもなら繁忙期なのに一車両に数人という新幹線になり、緊急事態宣言とともに主要な駅でも閑散としていました。時々むしょうに新幹線をみたくなり、空席ばかりの新幹線が通過していくのを眺めては元気をもらっていました。
ようやく感染症との付き合い方が少しわかってきた2020年7月に散歩を再開しましたが、いつもなら満席の時間帯でも一車両20人くらいでJRは大丈夫だろうかと泣けてきそうでしたね。
よしそれなら「乗って応援」だと、コロナの動向を見ながらまたみどりの窓口を利用し始めました。
いちばん乗客が少なかったのは、のぞみ一車両に2人だった記憶があります。
いつ行ってもほとんど人がいないみどりの窓口でした。
いつも通りサクサクと発券してくださる駅員さんにほれぼれれとしながら、どうぞこの方たちの技術と知識が途絶えませんように、また活気に溢れる駅に戻りますようにと願っていました。
多様な旅の日程を叶えてくれるすごい腕でした。
未曾有の感染症を乗り越えてまた鉄道が活気を戻すと思ったら、そのみどりの窓口がどんどんと閉鎖されることになりました。いったん見直されるようになったものの、人生でそうそう何度も乗車券を購入する人ばかりではないので社会にとっては大きな痛手ですね。
*JR各社のシームレスでない部分を補うのもみどりの窓口の役目かも*
私がいく場所は、ICカードも発券機もない無人駅が多い地域です。
みどりの窓口であらかじめ連続乗車券を購入できることで安心して旅を続けられたのですが、窓口も少なくなるのならマルスと同じような機能で自宅でチケットを作れたらと思ったのに、まさかその連続乗車券までなくなるとは。
定年という人生のひとつのゴールが近づいて、これから全国の田んぼと用水路を見に行きたいと地図を眺めていたのですが、だいぶ作戦変更を余儀なくされそうです。
まあ、時間はあるので詰め込みすぎないように、現地で発券機を探すしかないですかね。
JR間の乗り継ぎにICカードを使えないとかICカードに対応していない地域の事情などいろいろとトラップがあってまだまだ「デジタルでシームレスなチケット」とは言い難いので、そのニッチな需要に対応する連続乗車券の発券はみどりの窓口の役割のような気がするのですけれど。
ああ、それにしてもJRを使っての旅の楽しさにもっと早く気づいておけば良かった。
まさかわずか数年で、その楽しさに終止符が打たれるとは。
2026年3月までに、まだ未達の計画を実行しておかなければなりませんね。
「10年ひとむかし」まとめはこちら。
この問題もやはりこの社会の流れも関係しているのでしょうか。