桑名市長島町の「輪中の郷」からかつての輪中の田園地帯を歩き、近鉄線長島駅に到着しました。駅構内に「ここの地盤は海抜約-0.7m」と表示されていました。
ここから一旦桑名駅へ行き、養老線でこの日の朝下車した多度駅の先の石津駅へ戻り、そこから海津市のコミュニティバスに乗る予定です。
海津市は私が木曽三川を歩き始めた原点のような場所です。本当に治水神社まで行けるのだろうかとドキドキしながら、初めてよそのコミュニティバスに乗り込んだのが一つ手前の美濃松山駅でした。
あの時の痛恨のミスはちょっと複雑な気持ちでしたが、懐かしい思いがいっぱいで下車しました。
おかげで、また数年後に再訪することができました。
バスが来るまで少し時間があったので石津駅の周辺を歩こうと思っていたところ、駅の直前で線路が神社の参道を突っ切っていることがわかりました。
前回は緊張してこの踏切も目に入っていなかったのかもしれません。なんといっても人生で初めて遠出をし始めたばかりでしたから。
駅前には、どっしりとした瓦屋根の趣のある住宅が続いています。
ああ、なんと落ち着いたいい街でしょう。
そこから南へ向かうと、ホームの端のすぐそばに杉生神社の大きな鳥居があり、ちょうど桑名行きの真っ赤な車体の養老線が鬱蒼とした鎮守の森を背景に参道を通過していきました。
どんな歴史があるのでしょう。鉄道に「境内を横切られた」り、道路に横切られたり、けっこうあちこちにあるものですね。
*広大な水田地帯を走る*
15時55分の海津市役所行きのコミュニティバスに乗る予定でしたが、なんと21分にもバスがあるようです。
小さなバスで、どこまで乗っても200円です。私ともう一人、地元の70代ぐらいでしょうか、男性一人を乗せて出発しました。
石津駅を出るとじきに揖斐川を渡り、揖斐川と長良川にはさまれた場所を横切るように走ります。
前回は途中で南へと曲がって長良川の堤防沿いへと出ましたが、今回は途中で北へと曲がりそのまま長良川と揖斐川の間の地域を北上していく路線です。
2019年ごろにこの揖斐川と長良川にはさまれた地域を地図で眺めて、真ん中に太い水色の水路がたくさんあり、さらに川でしょうか不定形の流れでなんとも不思議な場所に目が行きました。
実際に走ると広大な水田地帯に沼や水路や池が散在していています。干拓地とも少し趣が違うのはわかりました。
当時は、まさかこのあたりが「輪中」だとは知らなかったのでした。
現在の地図では「川にはさまれた場所」として描かれていますからね。
今回はその意味が少しだけわかるようになり、車窓の風景を眺めました。
揖斐川を渡ると、「新田」「沼」といった地名が多くなります。住宅があるわずかの場所は微高地のようです。
この日の朝訪ねた木曽三川公園の展望台が近くに見えます。
近くといっても数キロはあり、その間の風景をさえぎるものがないのでした。
中江川、大江川と渡ると大きな池ある木曽三川公園アクアワールド水郷パークセンターが見え、その先を北へと曲がりました。
石亀のあたりは大江川が川のような池のような運河のような幅になり、水が流れているのかわからない水面です。
ところどころに建物があるだけのまっすぐな道路が続きます。「海抜0.5メートル」の表示も見えます。地図を眺めていた時には、ここを「歩いてみたい」と思いましたが、誰ひとり歩く人はいなさそうです。
途中でもう一人の乗客が下車し、一人になりました。
まだ大江川に沿ったまっすぐな道路が続きます。不思議なのは、川沿いの方が住宅地があるように見えるのは、「天井川」だったこととも関係があるのでしょうか。
稲穂が風にそよぐ季節だと壮観な風景だろうと思っているうちに、市街地らしい場所が近づき、お城のように堅固な石垣の上にある建物が目指す海津市歴史民俗資料館でした。
15時39分、予定よりも早く到着できたおかげでゆっくりと歴史民俗資料館を見学できそうです。
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