「米のあれこれ」を書き始めたのはちょうど10年前でした。
高齢になった両親の生活を見守るために、父親の転勤に伴って高校生まで過ごした地域を行き来することが増えた頃でした。
稲の香りからさまざまな回想になり、お米について何も知らなかったと書き始めたものです。
それも都内近郊の川や用水路を歩くきっかけになり、さらに祖父母の田んぼへの郷愁から干拓地やあちこちの田んぼを見て歩くようになったのですが、それぞれの地域の田んぼの歴史、治水・利水の歴史に圧倒されることになりました。
産地リレーによってお米や野菜が過不足のないように全国に行き渡り、そして立ち直れないのではと思うような災害でも数年するとまた整然とした田畑が広がるのは魔法を見ているかのようですが、それは人の手によって時間をかけて試行錯誤してきたからだと気づかされるこの頃です。
しかも太古の昔からそれを繰り返してきたと。
*なんの権限があってそれをするのか*
ところが、まさかこんな時代になるとは思いもよりませんでした。
そして世の中には築き上げてきたものを壊そうと魔法をかけようとする動きもあるのですね。
昨年からお米についてだいぶ勉強する機会が増えました。
このニュースを聞いた時にも、まずは「なんの権限があってそんなことをするのか」という違和感の方が先にあったのも、この1年ほどの勉強の成果ですね。
小泉農相、概算金変更をJAグループに要請
(KYODO、2025年6月20日)
小泉進次郎農相は20日、農林水産省で全国農業協同組合中央会(JA全中)の山野徹会長らと面会し、コメの集荷にあたり、JA側があらかじめ設定した価格で農家に代金を仮払いする「概算金」の制度を廃止し、一括で買い取るよう求めた。
「小さな政府」「民間にできることは民間に」「競争力を高めて」といいつつ、かなり強引に政治家が口を出すのが「新資本主義」なのだとわかるニュースですね。
このニュースの裏にどんな人たちが蠢いているのだろう。
自分の仕事の分野にもこんな形で政府やその裏からの圧力がかかったら、ほんと嫌気がさしますね。
失言どころではない、もっと大きな責任問題だと思うのですけれど。
*協同組合についてまた勉強する機会になった*
コメント欄を読んで、私の「違和感」の正体がもう少し見えてきました。
協同組合の原理原則は委託販売です。それは歴史で見ても、世界的に見ても、買取りだと資本の弱い組織は価格変動に耐えられず、組織が崩壊し、そのような国では弱小農家もつぶれていき、農業自体が外資の穀物メジャーの資本の下に再編されていくことが証明されているからです。
財務基盤の優良な協同組合は一部買取もやってますが、基本は、最小限の資本で運営されているので、買い取りをするだけの資金はありません。
野菜も花も基本は委託販売です。価格変動リスクは農家が負担するのは当たり前だと思っています。
単位農協は農家の出資によって成り立っていて、農業資材の共同購入、農産物の共同販売を行なっています。単位農協で利益が出れば配当金として農家に配当されます。改善の余地は多々あろうかと思いますが、生産者団体としては合理的な組織だと思います。
概算金って、概算の金額でしょう?
どこかで精算します。
前渡し金じゃないですか。
それが問題になるのがわかりません。
それに我が家はJAからの委託で米を作っています。
植える品種から指定されて、田植えから刈り取りまで行い、あとはJAにお任せ。JAがなくなったら、米は作りません。
乾燥から籾殻取り、選別の機械代と置く場所がありません。
そもそもJAは買い取って売ってるのではなく委託販売で一定割合の手数料を取るシステム。概算金はその委託販売で確実にこの価格以上で売れるという分を売る前に先渡ししてる分。高く売れたら後で追加払いされる。農家が一括販売したい場合は元々民間業者に売ってる。そして農家はその選択を自由にできる。今回の米価高騰だとJA委託販売の方が追加払いで農家身入りが大きくなる。農家はどちらも選べるのに何で選択自体を無くすようにするのだ?やるなら第三の選択として昔の食管制度時代の様に国が買い取り価格決めての買い取り制度をやれば良い。そうすれば民間買い取り業者はその価格以上で必ず買い取りになるし、概算金もそれ以上の水準になる。ただ国の買い取りが廃止されたのは政治的に買い取り価格が高止まりする傾向があったから。ただ現在は農家後継者がいなくて状況が違う。どこに売っても補助金つけた上なら問題ない筈。補助金の方で調整できるので。
そもそも、政府と資本関係のない民間団体(協同組合)にたいして、農水大臣と言えども口を挟むのは越権行為であり、農家から委託された米の販売手数料をとっているに過ぎないJAのやり方が、価格吊り上げに関与しているかの要求を、許すわけには行かない。ちゃんとした根拠も証拠もないまま、既存のシステムを悪で有るかの印象操作は消費者も騙しているに過ぎない。
あまりにも稚拙な政治手法はもやは政治とも呼べる代物ではなく、大衆迎合のポピュリズムそのものである。
ほとんどの消費者は、今の米問題を単なる価格の問題としか捉えておらず、食糧安保の知識も、市場経済原理と計画経済原理の区別もつかない。
知識や経験のない国民や消費者を煽り、農業と敵対させ自分の思う方へ誘導するやり方は、ナチス政権の反ユダヤ政策を彷彿とさせるプロパガンダそのもの。
一括で買い取れってことは、JAは委託販売をやめて共同計算するなってこと?
それって農家の選択肢奪う上に、農協特例も使えなくなるので農家の税負担増えるし、協同組合の意味がなくなるのでは?
あと、米以外の委託販売はどうするつもりなんだ?
概算金をやめて買い取りって事は共計に手をつけるって事?
それは余計に相場が混乱するよ。
まず意図せずとも概算金は業者の買取水準になっている
それにちょっと上乗せして集荷し、共同計算がそれでも多い量を集荷してるから販売が一番最後までかかる場合が多いので、保管料を含めて計算している販売価格のちょっと下で販売価格を設定している
それで図らずとも地域の相場ができているところもある
ちょっとメチャクチャ過ぎて想像が追いつかん
政府が民間取引に強要ですか。
そこまで言うなら、政府が農家から直接買い取り国民に売ればいいのでは。
赤字は国庫負担で。
過去に日本政府が行なっていた政策です。
さすがに「ほとんどの消費者は、今の米問題を単なる価格の問題としか捉えておらず」というわけではないと思います。
政治家の言動もなんだか変だと思いつつ、その違和感の正体を見定めているという感じ。
つじつまが合わないその正体を。
こうして少しずつ、現実の仕事の流れを当事者から学んでいくしかないですからね。
なんといっても人類の歴史の中で、お米をいつでもお腹いっぱい食べたいと思っていたことが叶って、たかだか半世紀ですからね。
「米のあれこれ」まとめはこちら。
「お米を投機的に扱わないために」まとめはこちら。
骨太についてのまとめはこちら。