水のあれこれ 422 吉田用水から分水された結城用水が潤す地域

3月下旬、湘南新宿ラインに乗りました。遠出の時はグリーン席で車窓の風景を眺めるという贅沢な時間です。

まだ桜はちらほらでしたが、すでに気温20度になっています。

 

赤羽あたりの崖線の痕跡を眺め、荒川の美しい土手を眺め、沿線にだいぶランドマークになる風景が増えました。

と、車窓の風景に見入っていると、突然前の方が座席を起こしたのでテーブルの物が落ちてしまいました。「リクライニングの時に声をかけるか不要か問題」、こういうアクシデントがあるので難しいですね。まあ、それでもロングシートの窮屈さと視線を合わせないようにするストレスに比べればリラックスできるし、ここ数年で各地の鉄道の歴史を知ることが増えて社会の葛藤にはなかなか答えはないと思えるようにはなりました。

 

さて、栗橋駅の手前では代掻きが行われていて、今年も無事に収穫できますようにそして農業が安定しますようにと思っていると、美しい利根川を越えて左岸側の水田地帯はまだ一面レンゲの風景でした。

工場や昔ながらの立派な門構えの家々と麦畑や田んぼ、そして住宅や林や公園と次々と変わる風景に、また歩いてみたい街が増えていきます。

10寺40分に小山駅に到着し、11時7分の友部行きの水戸線に乗り換える時に見上げたら高架橋の上にはやぶさが停車中でした。美しいですね。次はいつはやぶさに乗れるでしょうか。

 

小山駅からまっすぐ東へ住宅地を抜けると水田や果樹園が広がり始めましたが、どこまでも平地に見えます。1本の川を超えました。地図で確認すると西江連川で、栃木県と茨城県県境を流れている川でした。

このあたりは、鬼怒川と思川にはさまれた場所ですが、台地というほどの高低差もないように見えます。

 

19分ほどで結城駅に到着しました。

駅前の地図を楽しみにしていましたが、「結城市観光案内」には吉田用水の名前はありませんでした。まあ、そうですよね。

 

 

*分水路から歩き始める*

 

地図では、結城駅と東結城駅の中間点に線路の南に水田地帯が始まり、そこに吉田用水からの分水路が複雑に描かれた場所があります。

線路の北側には2列で水路が描かれていて、それをたどると吉田用水の分水堰があるようです。

 

ここから歩き始めることにしました。

結城駅の北側は旧市街のように寺社が多い場所のようですが、南側はずっと平地が続いています。県道15号線を目指して歩き始めた途中に盛り土されたような公園がありました。

少しずつ緩やかな坂道になり、水田地帯が始まるところに「人手観音」があるようなのでそこを目指しましたが、周囲より少し小高い空き地で建物はなく、「報恩記念」「戦没者慰霊碑」の石碑と石仏が何体かあるだけでした。

 

「旧山川街道踏切」を渡って北側に行くと、道沿いに古い美しい日本家屋が残っています。水田に対して微高地に集落があったようです。

 

地図では2列の並行した水路が分かれて交差するという不思議な場所ですが、1本は幅が広い水路で水も多く、1本は細い水路でした。ちょっと見ただけでは何がどうなっているのかよくわかりませんね。

 

北へと曲がると水路沿いに「観音ポンプ場」があり、道の反対側にはまるでお城か蔵のような造りの結城東中学校がありました。景観上のものでしょうか、それとも防災目的でしょうか。

このあたりからは2列の水路が続いていますが、西側の微高地に沿って蛇行しながら流れていて、東側はやや低地で水田地帯が広がっています。

2列の水路は片方がもう片方よりも高い構造になっていました。

 

高い方の水路は水量が多く、流れているというよりは「溜まっている」という感じだなあと思いながら歩いていると、こんな注意書きがありました。

この堰は、冬期間の防火用水のための制水堰ですので、無断で開けないでください。

防火用水も兼ねているようでした。

 

緩やかに蛇行し、緩やかな上り道でしょうか。水路沿いに歩いていくとゲートボール場があり、その一角の小高い場所にお社がありました。

 

2列の水路の西側は比較的新しい住宅地でしょうか、水路にも柵が張り巡らされています。

あぶない!!

○農業用水路は地域の防火用水や洪水防止等の多面的機能を有する施設です。

○農業用水路をきれいにしましょう。

○ゴミの不法投棄は絶対にしないこと!

 鬼怒川南部土地改良区連合  結城用水土地改良区  結城市

農地や山が次々と宅地化されるという驚異的な変化の時代に、言ってもわかってもらえないことが増えた時代でしたね。

 

 

「結城用水土地改良区」

6月以降、水路名がマップに掲載されるようになったので、この意味がわかりました。

あの踏切のあたりで複雑に分かれた水路は、結城下水路、結城用水東幹線と西幹線に分かれ、そして水田地帯の真ん中をまっすぐ通っているのが結城用水幹線排水路でした。

 

やはり用水路の名前は大事ですね。

地図の水色の線も、名前が書かれているだけでその地域の水の歴史まで重層的な理解に役立ちますからね。

 

 

 

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