ここ数年全国あちこちの田んぼを見て歩くようになったのですが、最近、子どもの頃の春先の田んぼの風景が復活しているのかなと思うことがあります。
最初は4月ごろの奈良でレンゲが一面に咲いているのを見て、ああ懐かしい、最近みない風景だなあと思っていたのですが、奈良だけでなく他の地域でも薄ピンク色の田んぼを見かけることがあります。
前回の3月下旬の散歩でも、利根川を渡ってすぐの渡良瀬川とにはさまれた水田地帯がレンゲ草でピンク一色の美しい風景でした。
一時期レンゲの花を見かけなくなったのは、私が気にしていなかったからかどうなのか、ちょっと気になっています。
唐突にレンゲの話になったのは、渡良瀬川支流の蓮花川はなんと読むのか気になったのがきっかけです。
「蓮花」は蓮の花をまず思い浮かべたので「れんか」と読むのかなと思い、検索してみました。
ググってみると「AIによる概要」では、「蓮花川(れんかがわ)は、栃木県を流れる利根川水系の一級河川です」と書かれているのですが、Weblio辞書や他の振り仮名では「蓮花川(レンゲガワ)」となっています。
まあ、「AIの解答には間違いが含まれている場合があります」なので、正解は「レンゲ川」のようです。
日本語は難しいですね。
*蓮華と蓮花は?*
そういえばレンゲ草は漢字だと「蓮華草」で覚えていたので、その由来はなんだろうと検索すると、「蓮華・蓮花」は「ハスの花」の説明が真っ先にあるので蓮の花の方に使われるものなのでしょうか。
デジタル大辞泉の「蓮華草」では以下のように説明があるので「草」をつけると、子どもの頃から馴染みのあるレンゲ草のことのようです。
マメ科の越年草。茎は地をはってよく分枝し、葉は9〜11枚の小葉からなる羽状複葉。4、5月ごろ、長い柄の先に紅紫色の蝶形の花を輪状につけ、仏像の蓮華座を思わせる。中国の原産。江戸後期から緑肥にするため水田に栽培され、田植え前の花盛りのころに土に漉き込む。漢名、紫雲英。げんげ。れんげ。
「げんげ」という呼び名もあるのかと検索したら、スズキ目またはカサゴ目ゲンゲ亜目に所属する魚類が先に出てきてびっくり。
ツルボとウツボを思い出しました。
「げんげ草」はこちらで、「翹揺」とも書くようです(「精選版日本国語大辞典」)。
日本語、ほんと、難しいですね。
*やはり一時期減って、復活したのかも*
Wikipediaの「ゲンゲ畑」にレンゲ草の変遷が書かれていました。
化学肥料が使われるまでは、空気中の窒素を固定してくれる根粒菌を利用する緑肥(りょくひ=草肥:くさごえ)、および牛の飼料とするため、水田裏作で9月ごろにイネの間に種をまき、稲刈り後に生育して冬を越し、翌春に花を咲かせていた。これはゲンゲ畑と呼ばれ、水田一面に花が咲くさまは「春の風物詩」であった。化学肥料は、20世紀に入ると生産が本格化したが、原材料が軍事物資という側面があり農業分野で大量に使用することがはばかられていた。このためゲンゲを水田や肥料に緑肥として栽培することで化学肥料の使用を抑える手法が取られていた。戦後は、化学肥料の使用と保温折衷苗代の普及による稲の早植えから、緑肥の生産スケジュールとゲンゲの開花時期が重なるようになり、ゲンゲ畑が急速に姿を消していった。一時ほとんど緑肥としての利用はなくなったが、有機栽培が見直しや、緑肥を行う農家への国からの支援も行われるようになってきたことから、再び水田にゲンゲの種子をまいて緑肥を行うところも出てきている。
レンゲの花と肥料と戦争という関係もあるのですね。
そして戦後は化学肥料や田植えのスケジュールの変化が重なって、ちょうど一時期レンゲの花を見かけなくなったのだとつながりました。
最近は、田植えも3月ごろから6月下旬ぐらいと、他の作物との関係から幅があるように見える車窓の風景ですが、レンゲの花の利用はどんな変化があるのでしょう。
田んぼの世界、ほんと、知らないことばかりですね。
よくよくレンゲ草の写真をみると、ちょっと蓮の花に似ていますね。
来年はどの地域でレンゲ草と出会うでしょうか。楽しみが増えました。
*おまけ*
「蓮花川」で検索していたら、渡良瀬川との合流部から岩舟駅あたりまで歩いた方の記録がありました。ほんと、どんな小さな川でも実際に歩いた先人の記録があることに圧倒されます。
そして自由にそれを表現し、またインターネットのおかげで自由に読むことができる。
これもまた近年の「豊かさ」だと思うこの頃です。
「米のあれこれ」まとめはこちら。
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