記憶についてのあれこれ 184 「内需拡大」を耳にしてから30年

内需拡大」という言葉を聞いたのはたしか1990年代前半で、記憶はあいまいなのですが公共事業や公共投資を考えるNPOの事務所だったと思います。

1998年の特定非営利活動促進法ができる前で、当時はまだ数少ないNPO(非営利団体、民間団体)はまさに手弁当で、小さなアパートの一室に事務所がありました。

 

そのスタッフの方がボソリと「大事なのは内需拡大ですね」とおっしゃられたのですが、背伸びして知識を取り込んでいた私にわかるはずもないものでした。

ただ、なぜかその言葉を聞いた時のシーンがはっきりと記憶に残って今にいたります。

 

当時の私は、まとまった休みがとれると東南アジアの零細漁民やプランテーションで働く貧困層や少数民族の人たちの家に泊まらせてもらいその暮らしを体験しながら、その開発に日本などの先進国が深く関わっていることに怒り、「資源もない国」のはずがなぜ豊になったのだろうという葛藤の中にいました。

 

ですから、内需拡大と聞いた時、これ以上豊かな生活を求めるのかと心の中で反発したのでした。

 

でもことあるごとに「内需拡大とはどういう意味なのだろう」と思い出したまま、30年が過ぎてしまいました。

 

 

*「内需拡大」*

 

最近は便利ですね、ググると「AI」がまとめてくれています。「AIの回答には間違いが含まれている場合があります」とまで忠告してくれます。

鵜呑みにせず、その行間をより正確に知る努力を続けることにして、頭の整理のために転記しておきましょう。

 

内需拡大とは、国内需要を拡大させることで経済成長を促す施策を指します。内需拡大策としては、公共投資の拡大、個人消費の活性化、民間投資の促進など様々な政策が考えられます。これらの施策は、円安や輸出拡大に依存した経済成長の限界を打破し、持続可能な経済発展を目指すことを目的としています。

 

内需拡大の目的

経済成長の安定:

国内需要が拡大することで、経済成長が輸出に依存する状況から脱却し、より安定的な成長軌道に乗せることができます。

雇用創出:

内需拡大は、企業の生産活動を活発化させ、雇用を増やす効果が期待できます。

賃金上昇:

企業の業績が改善し、雇用が拡大することで、賃金上昇にも繋がる可能性があります。

経済の安定:

内需が拡大することで、経済の安定性が高まり、景気の変動を緩和することができます。

インフレ抑制:

内需拡大により、需要が供給を上回ると、価格が上昇し、インフレが加速する可能性があります。しかし、適切な内需拡大策であれば、インフレをコントロールし、経済の安定に寄与することができます。

 

内需拡大の具体策:

公共投資

社会資本整備やインフラ投資など、公共投資を増やすことで、経済活動を活性化させます。

個人消費の活性化:

消費増税の抑制、所得税の減税、消費財の購入を促す補助金などを実施することで、個人消費を拡大させます。

民間投資の促進:

民間企業が積極的に投資をできるよう、規制緩和や税制優遇などの措置を講じます。

賃上げの促進:

企業の業績が改善するような環境を整え、賃上げを促進することで、家計所得を増やし、消費を活性化させます。

 

内需拡大のメリット

経済成長の安定:

内需が拡大することで、経済成長が輸出に依存する状況から脱却し、より安定的な成長軌道に乗せることができます。

雇用創出:

内需拡大は、企業の生産活動を活発化させ、雇用を増やす効果が期待できます。

国内経済の循環:

内需拡大により、国内で生産された商品やサービスに対する需要が高まり、国内経済の循環が活発化します。

 

内需拡大のデメリット

財政負担:

公共投資補助金など、内需拡大策には財政負担が伴う場合があります。

インフレ:

内需が過度に拡大すると、インフレが発生する可能性があります。

海外への依存:

内需拡大策が過度に国内需要を重視すると、海外からの依存が強まる可能性があります。

 

まとめ

内需拡大は、経済成長を安定させ、雇用を創出し、賃金を引き上げるなど、様々なメリットがあります。しかし、財政負担やインフレ、海外からの依存など、デメリットも存在します。内需拡大策を検討する際には、これらのメリットとデメリットを考慮し、総合的な視点から判断する必要があります。

 

 

 

 

*あれから30年*

 

アリの生活は「倹約が美徳」ですから、社会全体の経済成長と言われると「贅沢」のように感じて罪悪感というか否定的になりやすいですからね。

 

そんなアリの足元を見られたかのように経済成長は止まり、それなのにふつうの労働ではとても手に入らないような身の丈以上の生活をする人が増え、国内では高級魚は売れないからと海外へ輸出されるようになっただけでなく、国産の海苔やりんごなど日常の食べ物がとても高くなった代わりに輸入した食品が安くなるというおかしなことになりました。

 

そして、近い将来は国産米を買えないなら安い輸入米を買えばいいじゃないとなるのでしょうか。

 

 

「経済成長が輸出に依存する状況から脱却し、より安定的な成長軌道に乗せることができます」

「国内で生産された商品やサービスに対する需要が高まり、国内経済の循環が活性化します」

ああ、これがこの30年に失われたことだったのだ。

 

90年代に聴き慣れない「内需拡大」の必要性を語ったあの人は、世の中の動きが変わりそうな雰囲気を察してその後を預言していたのだと思うことが増えました。

 

そしてその言葉を先日、預金金利の変遷の中で見つけたことから、ようやくこの30~40年ほどの流れがつながりました。

 

 

あの時に社会がそれに気づいていたら、「植民地主義から新植民地主義」の失敗から学び、「それぞれの国が内需拡大で対等になる時代」というより普遍的な方向になっていたかもしれない、とちょっと青臭いけれど思いました。

 

 

Googleさん、ありがとう。

おかげで全体像がおぼろげながら見えてきました。

 

 

 

「記憶についてのまとめはこちら

内需拡大についてのまとめはこちら

骨太についてのまとめはこちら

失敗とかリスクについてのまとめはこちら